第2話「大切なのは信じる気持ち」
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お登勢の計らいで温泉旅行をすることになった銀時たち。
だが宿泊先の『仙望郷』は今にも全壊しそうなオンボロ旅館。半透明の人影。背筋が凍るような妖しい雰囲気……だけならまだ良かった。
あろうことか、女将の背中にはおもいっきり幽霊が乗っかっていたのだ。
しかし銀時は断固としてそれを『幽霊』と認めようとせず、「女将はスタンド使いだ」と言い出す始末。
「基本俺たちもスタンド使いだろ。だから見えたんだよ、女将のスタンドが。俺は普段隠してるけど、お前はいつもスタンド出してんじゃん。その耳に掛かってる奴」
「それただのメガネ使いだろ!だったらなんで長谷川さん見えねぇんだよ?長谷川さんだってグラサンかけてんじゃねーか」
「長谷川さんは元スタンド使いだ。てめェと違って耳にかかったスタンド真っ黒だろ。汚職とか悪い事に当たりまくって希望もスタンドも見えなくなっちまったんだ」
「アンタは現実を見ろ!あれは間違いなく幽――」
「スタンドだ!」
ビシッと断言する銀時。
幽霊嫌いなのは知っていたが、ここまでその存在を否定しまくる姿は情けない。
認めたくないのは自分も同じだが、新八は事実を確かめるため女将に視線を戻す。
「スタンドじゃありません。よく見てくださいよアレは間違いなく……アレ?」
だが女将の肩には淀んだ物体も不気味な気配も一切なくなっていた。
「……どこいったんだろ」
「オイ、ひょっとして幻覚だったんじゃねーか」
「……あまりにもビビってたから、見えないもんも見えるようになってたっていうんですか」
『幽霊』は人間の『恐怖心』が生み出した錯覚現象だ、と説く学者もいる。
怖いという思いこみは、風で扇がれた白い布を浮遊する女性に見えさせてしまうと聞いたことがある。それと同じことだと自分に言い聞かせ、二人は落ち着きを取り戻した。
そうこうしているうちに女性陣は洋式部屋に案内された。このオンボロ旅館に洋式があるのは少々意外だったが、男性陣こと銀時たちは「侍なんで」と和式を選んだ。
こんなところで侍魂発を揮してどうするという話だが、さきほどの幻覚にビビってしまったこともあり、無意識に変な見栄が働いてしまったらしい。
「ハイハイ。じゃあお侍さん達はこちらです」
案内されたのは、巨大な鎖が巻きつき何百という陰陽道のお札が貼られた襖。
女将によって閉ざされた襖が開かれる。
首をつった和服の男の子のスタンドが銀時たちを出迎えた。
かつてこの部屋に子連れの客が泊まった。子どもは初めての旅行ではしゃぎまくった。
それで襖を穴だらけにしたその子供を、女将が叱り過ぎてしまったという。
「それじゃあウチだと思ってゆっくりしていってね」
仙望郷の女将はにっこりと笑って去って行った。
銀時と新八はぶら下がる男の
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