第三章
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」
「どうかな。何でも戦犯追及までやるんだろ?」
ブラウベルグは今度はそれを言ってきた。
「ナチスの関係者は全員」
「俺達はナチスじゃない」
アルトマンはそれをすぐに否定した。それは自信を持ってはっきりと言えた。
「違うか?違わないだろう」
「どうかな。敵にとっちゃ必要なのは事実じゃないからな」
「どういうことだ?それは」
アルトマンは後ろからの声に応えた。そこには二人の男がいた。
ヴィーラント=ヘンドリックとヨハネス=シュトラウスであった。それぞれ緑の目と茶色の髪が印象的だ。彼等もまた撃墜数百機を越える歴戦のエースである。そうした意味では今床に転がっているカール=クルーデンもルドルフ=ホイゼナッハも同じなのであるが。
彼等がこの基地のパイロット達である。歴戦のエース七人。それが基地の戦力の全てであったのだ。もっとも彼等は今将に滅びようとしている帝国の傷ついた鷲であったが。
「だから言ったままさ」
ヘンドリックは述べた。
「連中はな、要するに正義ってのが欲しいのさ」
「正義か」
「そうさ、まあ俺達は悪者になる」
ヘンドリックの言葉の響きはブラウベルグのそれよりもシニカルに聞こえる。だがそこには妙な達観まであった。
「それであいつ等が正義になるんだ」
「イワンが正義かよ」
ヘンドリックの横にいたシュトラウスはそれを聞いて顔を顰めさせた。
「また奇天烈な話だな」
「勝てば白でも黒になるさ」
ヘンドリックの言葉がよりシニカルな色彩を強いものにさせた。
「赤旗も正義の旗になるってな」
「そういうものか」
「そうさ。それで俺達は悪者として裁かれる」
「ナチス以外にもか」
「理由は何とでもなるんだよ」
ヘンドリックはまた述べた。
「上空から一般市民を撃っただの捕虜を虐待しただのな。下手したら階級だけでどれだけ殺したとかあらかじめ決められるかもな」
「馬鹿な」
だがアルトマンはそれを否定した。
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