第五章
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葉に応えてすぐに述べるのだった。
「ずっと覚えていたさ」
「わしと同じか」
「御前もか」
「当然だ」
アルフレッドはまた笑顔で答えるのだった。その笑顔で語る。
「時代は変わったがな」
「確かに変わったがそれでも」
「何だ?」
「わし等の心はそんなに変わってはいなかったな」
「そうか?」
今のコシュートの言葉に首を傾げるのだった。今度は捻ったものではなかった。
「それは別にな」
「感じないか」
「髪も白くなったしな」
そう言いながら笑って自分の髪の毛を撫でる。もう赤い髪は何処にもなくなっていた。
「見ろ。この白い髪を」
「それを言うのならわしもだ」
コシュートも言ってきた。やはり彼も自分の頭を撫でている。
「なくなってしまったわ」
「そうだな。見る影もない」
「歳を取って急にだったぞ」
笑いながらの言葉だった。達観さえしている。
「抜けてな。それでこれだ」
「わしは徐々にだったがな」
「どちらにしろ。歳は取ったということだな」
「その通りだ。それでだ」
アルフレッドはここまで話したうえでまたコシュートに対して述べるのだった。
「メアリーはそちらに入る」
「ああ」
アルフレッドのその言葉に頷くのだった。
「宜しく頼むぞ」
「わかった。あれだな」
「あれ?」
ここで話が動いた。しかしアルフレッドにはわからない。
「あれだ。御前の孫娘が今日結婚して」
「ああ」
「生まれるのは。わし等の曾孫だな」
「おお、そうだな」
アルフレッドはそれを聞いて気付いたように頷く。彼は今それに気付いたのだ。
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