第2章 風神竜と謎の男
第8話 圧倒的な力
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グを見てたんじゃ……」
「そうかもしれない。俺もそう思ったよ。けど、あのカードを狙って実際に襲撃されたとあっちゃ、疑わざるを得ないだろ」
「け、けど……」
「母さん、いい。俺から話そう」
反論しようとする母親を制して、父親がその様に告げた。
「いいか、遊雅。今から話す事は全て真実だ。お前を誤魔化そうと嘘をついているわけじゃない、と言う事を先に言っておく」
その宣言に、遊雅は言葉の代わりに首肯を返した。
それを見た父親は、ゆっくりと語り始める。
「お前に渡した3枚のカード、《フレスヴェルク・ドラゴン》と2枚の風神竜のカードは、お前が産まれて来た時に抱えていた物なんだ」
「えっ……?」
無論、遊雅は驚いた。
とても信じられない話だが、父親の『嘘はつかない』と言う宣言が、彼にこの話を信じさせた。
父親は自分が言った事を絶対に貫き通す人間だと言う事を、遊雅は知っていたからだ。
これまでの人生の中で、父親が約束を破った事など、遊雅は一度も見た事がなかった。
「産まれたばかりのお前が、あの3枚のカードを抱きかかえていたんだ」
「……どう言う事だ?」
「勿論、俺達も驚いたさ。赤ん坊が何かを持って産まれて来る。ましてそれがカードだなんて、信じたくても信じられないからな。だが、それは現実だった」
「だからあのカードは俺に何か関係があるって事で、俺に渡したのか?」
「そうだ。何かの縁があって、ひょっとしたらお前のお守り代わりにもなるかもしれないと母さんと話した上で、お前にあの3枚を渡したんだ」
「……そう、なのか」
ダイニングルームは、しばしの間静寂に包まれる。
それから最初に口を開いたのは、遊雅の母だった。
「遊雅、もうあのカードは手放しなさい」
「母さん、どうして?」
「あのカードが狙われているなら、素直に渡した方がいいわ。そうじゃないと、あんたの身に危険が及ぶかもしれないのよ?」
確かに、母親が言うのは最もな事だった。
たかがカード。その為に、自分の身が危険に晒される必要はなかった。
しかし、遊雅は――
「嫌だ」
――それを拒否した。
「どうして!」
「フレスヴェルクは……あいつは、小さい頃からずっと一緒だったんだ!どこのどいつかも知らない奴に、あいつを渡したくなんてない!」
「遊雅、現にお前は襲われたんだぞ?それでもか?」
「それでもだ!襲って来るんなら、片っ端からぶっ倒してやればいい!今日は負けたけど、絶対もっと強くなってやるんだ!」
「遊雅!」
母親が声を荒げる。
無理もない。自分達の大切な息子が、危険に晒されているのだから。
「俺は絶対に嫌だ!」
何と言われようと、遊雅はこの意思を貫き通したかった。
幼い頃からずっと一緒だったか
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