第2章 風神竜と謎の男
第8話 圧倒的な力
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取らない形相に歪んでいた。
男は遊雅に詰め寄る。しかし、遊雅の胸倉を掴んだ所で、男は急に怒気を忍ばせた。
「はっ、しかし。……かしこまりました」
誰かと会話するような口振りの男は、そのまま遊雅を掴んでいた手を離し、デッキもその場に落として、「次はこうは行かんぞ」と捨て台詞を残して去って行った。
「何だったんだ、あいつ……」
息も切れ切れに、遊雅は散らばった自分のデッキを回収し、ようやく重々しさも収まり始めた体で、覚束ない足取りながらも残りの帰路を急いだ。
程なくして、遊雅は自宅前に到着する。
母親に何かを問われた時の言い訳を頭の中で整理し、玄関の扉を開く。
案の定、ふらふらとした足取りの遊雅を見た母親が、何事かと訊ねて来た。
「お帰りなさ……遊雅、あんたどうしたの?」
「いや、カード見るのにはまっちゃって遅くなったから、走って帰って来たんだよ」
「走ったぐらいでそんなになるわけないじゃない。どうしたのよ?」
「いや、だから……」
そこで、ダイニングルームから今度は父親が姿を現した。
「どうした?何かあったのか?」
「お父さん……遊雅の様子が変なのよ。聞いてもちゃんと答えてくれなくて」
我ながら嘘が下手だと痛感しながら、遊雅は正直に話す決心をした。
「分かった。正直に話すよ」
「その前に、まずは腰を落ち着けよう。お前もその方がいいだろう」
3人でダイニングルームへ向かう。
食卓について少し待ってから、遊雅は一連の出来事についてを両親に話して聞かせた。
「実は……帰りに、亜璃沙の家であいつと別れた後に、妙な奴に絡まれたんだ」
「絡まれた?」
「ああ。そいつ、《フレスヴェルク・ドラゴン》の事知ってるみたいで、あのカードをよこせって言って来たんだ」
「……《フレスヴェルク・ドラゴン》を、か……」
「そんで、デュエルを挑まれて……あいつのモンスターの直接攻撃を受けたら、思うように体が動かなくなったんだ。今はもう、いくらかましになったけど」
「そう……それで、その人はどうしたの?」
「分からない。俺にカードの在り処を聞き出そうとする途中で、何かぶつぶつ独り言言いながら、どっか行っちまったんだ」
そこまで話すと、両親は急に黙り込んでしまった。
遊雅は、朝からずっと気になっていた事を、両親に訊ねた。
「なぁ、《フレスヴェルク・ドラゴン》って、どうやって手に入れたんだ?」
「えっ……どう言う事?」
とぼけたつもりだろうが、母親は目に見えて動揺していた。
実の息子である遊雅が、そんな様子を見逃すはずがなかった。
「朝、クラスメートに言われたんだ。色んなカードカタログを見たけど、あんなカードどこにも載ってなかったって」
「た、たまたま、載ってないカタロ
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