第三章
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て言うのだったl。
「私達の若い頃とは違うんだから」
「わかっているつもりじゃがな。しかし」
それでもであった。諦めきれないのだ。
「せめて。国で暮らして欲しいな」
「住めば都よ」
また孫の一人に言われた。彼は子供が四人いて孫は十四人だ。かなり多い。
「別に私達の国じゃなくてもいいじゃない」
「そうだよな」
「そうよ」
彼等だけでそう結論付けられる。やはりアルフレッドは古いとされるのだった。
「幸せだったらそれでいいんだよ」
「幸せだったらか」
「そうだよ。確かに他人に迷惑をかけるのは駄目だけれど」
それは当然のこととして断る。それだけの常識はあるのだった。
「幸せになるのは当然じゃない」
「だからいいのよ」
「本当に変わったな」
アルフレッドは子供や孫達の言葉を聞いてまた頷いた。頷くがそれでも納得したわけではない。納得はしていないがそれでも話は進むのであった。
「世の中というのは」
「まあまあ。ところでお爺ちゃん」
孫娘の一人がまた彼に声をかけてきた。
「何じゃ、今度は」
「この国に来たことはないよね」
「他の国に出たことなんてないぞ」
ずっと祖国にいてあの戦争の時以外はずっと故郷で本屋をしていた。旅行をしたことはないし用事で他の地域に出たこともない。いつも故郷で静かに暮らしていたのだ。
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