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元虐められっ子の学園生活
部活間の亀裂
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数日後の放課後。部室で読書をしていた俺は、雪ノ下の声に顔を上げた。
勿論声を掛けられたのは比企谷だが、顔を上げずにはいられなかった。

「いや、何も」

「何もなかったら、由比ヶ浜さんは来なくなったりしないと思うのだけど。
…喧嘩でもしたの?」

「いや、してない…と思うが。
大体、喧嘩なんて物はそれなりに親い連中がすることだろ?
だから喧嘩っつーより――――」

「――いさかい…かしら?」

「当たらずとも遠からずって感じか?」

ふむ、言い合いで来なくなった訳ではない、と。
しかし由比ヶ浜が気にするようなことと言えば……事故?まさかな。
…だが、言うなら今しかないだろう…それが例え今の関係を崩すことになったとしても。

「…比企谷、原因は……その、事故の事か?」

「っ!?……何で知ってる」

比企谷の俺を見る目が鋭くなる。
余りにも大きな『警戒』と『疑念』だった。

「…今まで黙ってて悪かった…。
…俺も当事者なんだよ…あの時の事故の…」

「……当事者?…もしかして庇ってくれた奴ってお前か?」

「…ああ。
だが結果的にお前を怪我させてしまったことは事実なんだ。
それに俺はその事に気づきながら黙っていた…すまん」

「…別に気にしてない。
お前が庇ってくれなかったら死んでたかも知れないからな……」

「でも足の骨を折ったんだろ?
あの時もう少し早く押し出せていたら怪我もしなかったはずだし…」

「そう言うお前はどうだったんだよ。
聞いた話だと5m近く撥ね飛ばされたって聞いたぞ?」

「いや、俺は捻挫と打撲だけだったから…」

「…頑丈すぎだろ」

そんな会話を少しの間続けた。
暫くして雪ノ下が会話に入り込めずに無言になっていることに気づいた俺は、雪ノ下に顔を向けた。

「…何かしら」

「いや、特に無いが…」

「そう。なら比企谷君には由比ヶ浜さんの説得を命じるわ」

髪の毛を耳に掛けながらそう言った雪ノ下。
しかしその瞳には――――

「後悔と………不安?」

「っ……人の目を見て考えを読むのは止めて貰える?
酷く不愉快だわ」

「……雪ノ下。お前は何を隠してる?」

「別に隠し事なんてないわ。
今の話題は由比ヶ浜さんの処遇よ」

雪ノ下は話をそらすかの様に話題を強制させ、比企谷に目線を向ける。

「……そうだな。馬鹿らしくなってきた。
明日に…は休日か。なら月曜日に呼び出すか」

比企谷は鞄に持っていた本を入れて立ち上がる。
方に鞄を背負って扉へと向かって歩いていく。

「鳴滝、俺はお前に感謝することはしても責めることはしない。
お前は命の恩人で、俺の中では結構上位に良い奴だからな」

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