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日向の兎
1部
28話
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官はグルなのか、イレギュラーの下から抜け出した類なのか……どちらにせよ本当に面倒な話だ。
私が色々と考えて憂鬱になっていると、試験官が私達の班の方へ近寄ってきた。
「えっと、ガイ班ってあなた達よね?」
「そうだが……何か?」
「そんな露骨に嫌がらなくてもいいじゃない。例外的にあなた達は四人一組だから、少しばかりハンデを背負ってもらうわ」
それはそうだろう。人数的に有利があるという事は他班に比べて圧倒的な優位性があるということなのだから、公的な試験である以上平等であるべきだろう。
「あなた達の班は試験開始から96時間は、巻物が両方揃ったとしても塔内部への侵入は禁止よ」
ふむ、妥当な所だな。長い間森に留まるということはそれだけ敵に襲われる危険性が増し、人数的な問題から食料問題も重要となってくる。
「異存は?」
「ない」
「ないな」
「ないわ」
「ありません」
「よろしい。それじゃあ、行ってらっしゃい」
試験官に背を押され森に入った私達は、まず拠点を立てる事を当面の目標として行動を開始した。
大樹のひしめくこの森であれば剥き出しの根の下辺りがいいだろうと考え、私の白眼で拠点を捜索、ネジの白眼で周囲を警戒、テンテンは道中無差別にトラップを仕掛け、リーは移動の最中に発見した食べられそうな生き物を確保という形での移動となった。
「で、どうするの?」
「どうするとはどういうことだ?」
「食料確保やらの話よ。結構重要な話でしょ?」
「そこまで心配はないと言えるぞ」
「……どういうこと?」
テンテンが怪訝な表情を私に向けてそう言った。
「ほれ」
私は右の袖に仕込んでいる口寄せの印に触れて、大きめの袋を取り出してテンテンの前に晒す。
「……えっ、それ全部兵糧丸?」
「そうだ、五人が十日間取り敢えず生きられる量の食料だ。潜入任務かなにかに備えておいたのが良かったな」
「あのさ、私が言うのも何だけどさ……ヒジリの着物の袖って一体どんだけ物が入ってんの?」
「両腕の袖に各々四つずつ口寄せの印仕込んでいる。まずは枝と手裏剣、弁財天用の水を呼び出すものを左右一つずつ、右袖に兵糧丸、左袖に応急処置セットだな」
「ふーん、意外と少ないんだ」
「武器庫のようなテンテンと一応は体術メインのヒジリ様を比較するのは間違いだろ?」
ネジが呆れたように言いながらも周囲を警戒している。
「あの……じゃあ、僕の苦労は何なんですか?」
いつの間にやら虎を仕留めて背中に背負ったリーがうんざりしたように言いつつも、修行の一環として諦めたのか虎を背負い続ける。
「それはそれで使い道がある。ちゃんととっておけよ、リー」
「はぁ……」



しばらくして人が何人か入れそうな木の根を見つけた私達はそこを拠点とすることにし、テン
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