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青い春を生きる君たちへ
第17話 俺とあいつと彼女の最期
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「……それを聞いて、どうしようってんだ?」
「……彼の確保の為には、情報が欲しいの。協力して欲しいんだけど」


質問に質問で返した小倉に、高田が身を乗り出して迫った。高田は、小倉の目をジッと見てくる。相手の視線に怯みもせず、その頭の中を見透かしにかかるように。小倉は目を逸らしたかった。が、逃げるわけにもいかない、そういう気持ちが働いて、小倉は逆に、高田の目を睨み返した。


「協力ってのは……お前に、協力するという事か?」
「そうよ」
「お前の組織、ではなく?」


この質問は、高田は想定していなかったのか、相手を見透かすような視線が、少し揺らいだように小倉には見えた。ここだ、とばかりに、小倉は高田に迫る。両手でその華奢な肩をがしっと掴んで、揺さぶった。


「俺は、お前個人に協力するつもりはあるんだ。お前には命助けてもらったし、守ってもらったからな……でも、お前の組織、それには俺は信用は置いてない。俺はお前個人の為なら、協力は惜しまない。どうだ?お前のその頼みは、お前個人としての頼みなのか?自分を助けてくれと、そう言ってるのか?どうなんだ……」


個人対個人。それなら、まだ交渉の余地がある。小倉はそう考えて、高田に迫る。組織対個人の関係の上では、個人なんてよほどの事がない限りゴミ屑だ。甲洋野球部でもそうだった。個人は弱く、組織に依らないと生きていかれず、よって組織には足下を見られる。この場合も、組織の一部としての高田と相対してしまうと、自分なんてゴミ屑でしかない。対等はありえない。しかし、この件を高田個人との一対一の問題にする事ができれば……そう思わせるだけでもできれば……まだチャンスはあるかもしれない。

肩をがっしりと掴まれた高田は、その視線を逸らした。引き結ばれた薄い唇の緊張が、内面の葛藤を表していた。小倉はその迷いのある顔をジッと見続ける。あの高田が、迷いを見せている。それだけで、小倉には確信が芽生えてきていた。

イケる。


「……言いたい事は分かったわ。……そうね……」


高田がゆっくりと、視線を戻す。小倉の視線と再び触れ合い、その目はいつも通りの凛とした目をしていた。


「……私の為に、それを教えて。私を……助けてくれる?」


聞きたかった言葉、言わせたかった言葉。その言葉に、小倉は少し、ホッとした。しかしまだ、終わってない。むしろここからが本番だ。小倉は気を引き締め直して、また一際強く、高田の肩を掴んだ。


「よし、分かった。協力する。ただ、俺の頼みも聞いてくれ」
「……何?」
「俺と田中と、二人だけで話す時間を、先に作って欲しい。お前が田中をしょっぴく前にだ」
「!!……それは……」


高田はまた、目を逸らした。躊躇している。しかし、一方
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