第二章
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っていたのである。
それが何かと考えていた。そしてそれを森本に話しているのである。
「ではそれが何かだ」
「わからないんだな、まだ」
「ああ。しかしこれだけは言える」
香川はまた言った。
「これについてはアメリカ軍が知っている」
「あの連中がか」
「盗むぞ」
香川の目がここで光った。
「それが何なのかな」
「盗むのか」
「ああ、盗む」
また言った。
「そこに答えがあるのなら。何だってやってやる」
「今度の戦争で勝つ為だな」
「何が戦争放棄だ」
最近新しくできた憲法のことだ。
「戦争は武器を使ってだけじゃない。他にもある」
「そうだな。俺達の戦争はその武器を造ることだった」
そうした戦争もあるのだ。そして今度の彼等の戦争は。
「今度は武器じゃないな。製品ってやつか」
「それを売って儲けてアメリカに勝つ戦争みたいなだ」
「そうだな。その為には」
「アメリカからその何かを盗む」
また言葉が強くなった。
「何としてもな。今度は負けてたまるか」
「糞っ、しかもだ」
ここで森本は歯噛みした顔になった。嫌なものを思い出す顔であった。
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