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メカニック
第一章
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を見据えるのだった。
 それから二年後。日本は連合軍の占領下に置かれまずは復興していると言えないこともなかった。しかし戦いの傷跡は深くそれから立ち直るのは不可能だとさえ言われていた。しかしその中で森本と香川は航空会社に入りそこで技術者として活動していた。それと共にアメリカの技術を貪欲に学んでいたのであった。
 彼等が今勤めている工場で。油まみれの顔と作業服に身を包んだまま二人は話をしていた。もう外は真っ暗になっており残っている者は誰もいない。その中で話をするのだった。
「何かわかったか」
「ああ」
 香川は森本の言葉に頷いていた。
「やはりアメリカの国力は凄い」
「そうだな」
 これはよく認識していた。だから頷くことができた。
「これに追いつくことは困難ではないだろうな」
「やはりそうか」
「しかし近付くことはできる」
 森本は言った。粗末な今にも壊れそうな木造りの机に向かい合って座りながら話し込んでいる。上の電球が弱い光を放っている。
「できるだけな」
「近付くことはか」
「そうだ。それでだ」
 森本はさらに言う。
「アメリカの生産体制は日本とは全く違う」
「どうなっているのだ?」
「我が国は多くの種類のものを作っていたな」
「ああ」
 香川もそれは知っていた。これは陸軍も海軍も同じであった。彼等がいた海軍も。

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