R.O.M -数字喰い虫- 2/4
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に捲いた名刺という名の網にかかった存在がいたからこうして出向いている。
相方であり都市伝説そのものでもあるメリーが『怪異の因果律』を無意識的に察知して、事前にその人に名刺をばらまいておく。普通の人間ならば知らぬ男の名刺の存在など捨てるか忘れるが、メリーが渡せばその因果は特異的になり、容易には消滅しなくなる。
そうして捲いた名刺を通じて怪異の被害や情報が林太たちの下へと舞い込んでくる。
電話越しに聞いた話。メリーの勘や解析。データ調査や他の怪異との時系列の調査。
そうしたデータを積み重ね、実際に物品を「予め回収」し、実際に出会って確かめることで、真実は浮かび上がる。
時系列的に確認できたもっとも古い『数字喰い虫』の怪異の発生は、美咲という少女だった。
メリーによる怪異の始まりの追跡で、美咲という少女の部屋にあったノートが原点だと判明した。
ノートの最後のページにある数字を「羅生門」の協力の下で解析して、驚くべき事実が判明した。
そして、このノートの本来の持ち主が春歌であると判明した時点でターゲットはほぼ絞られていた。
「不思議な図形だね。俺はオカルトにそこまで造詣が深いわけじゃないんだけど、この数字をその筋の専門家に調べてもらったんだ」
「……それは、誰かが悪戯で書きこんだものだと思います」
言い逃れるように自分との関連性を否定する春歌だが、敢えて無視する。
「本当に興味深い。この数字は実に様々な心理現象を複合同時的に引き起こすものだそうだよ。刷込効果、単純接触効果、禁制追求効果、主観的選択効果、未完追求欲効果、偽薬効果……数を上げればきりがなく、一見して特徴的効果が無いように思える」
「……単なる落書きなんじゃないですか?」
「だが、さらに調べた結果、先ほども言った通りこれは複合同時的に心理効果を引き起こす。つまり、複合同時的に認識することによって一定の効果を引き出す物だったんだ。化学反応的に……いや、いっそ魔法的といってもいい。ある意味、これは悪魔の数式と呼んで過言ではないね」
林太は話を聞いているのではない。ただ、淡々と事実を確認している。
それを聞いて、春歌はありもしない追求を受けていると勝手に思い込んでいるだけだ。
メリーの言葉で言うならば、「俺がこれを喋ったことに特に意味はない。ただ、結果的に彼女を追い詰めるだろうと思っていた」、といった所か。
「これを書いた人物はいったい何者だったんだろうね。見るだけで劇的な心理構造変化を及ぼすような危険な数式だ。書いている人物その人も無事とは思えない。それともその人は対策や耐性のようなものを持っていたんだろうか?」
「あの、私の話を聞い
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