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ソードアート・オンライン〜黒の剣士と紅き死神〜
外伝
外伝《絶剣の弟子》@
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 これは、まだ俺が彼女の事を何も知らない無知な頃の話……。






「ハァッ??」

 片手直剣2連撃技《バーチカル・アーク》が鳥型モンスターにヒットし、HPを大きく削った。
 ソードスキルを使った反動で空中での姿勢が崩れるが、ようやく慣れて来た随意飛行のテクニックで必死に立て直す。教えて貰ったユウキさんは姿勢を崩さずに飛行と攻撃を同時に行う《空中戦闘(エアレイド)》も可能なのだが、その境地にはまだまだ程遠い。

「キェェェェェ????」

 鳥型モンスターは奇声を上げながら俺の周囲を旋回しだし、隙を突こうとしている。
 どうにか隙を作らないよう、常に体の向きで追随するが、数秒の後に振り切られてしまった。

「くっ……」

 後ろから接近する気配に対し翅の力を抜く。途端に仮想の重力が作用し、危うい所でモンスターのチャージをかわした。
 ターゲットを見失ったモンスターは戸惑ったようにその場にホバリングし、辺りを見回している。

「せい……やぁ??」

 自分の出来る全速力で体勢を立て直し、剣をソードスキルのモーションへ持っていく。
 突進系《ソニックリープ》
 未だに空中での、特に戦闘中のソードスキル発動の成功率は4割と非常に低いが、この時は運が良かったのか無事に発動する事が出来た。
 重力を無視してシステムアシストが作用する。モンスターに赤いダメージエフェクトを刻みながらさらに上空へと突き進み交差後、後方でポリゴンの破砕音を聞く。ドロップしたアイテムの告知ウィンドウが出現した所でソードスキルの残滓を解いた。

「ふぅ……」

 周囲の空域に敵影は無い。この手の敵は大抵3匹から5匹の群れになっている。それが単体だったのは偶々では無く、ちゃんとした理由があった。

「あ、終わってたんだ。もう空中戦闘は慣れた?」
「いえ、まだまだ必死です……」
「でもちょっと前に比べたら見違えるよ。偉い偉い♪」

 そう言ってぽんぽんと頭を撫でられ、思わず顔を赤くしてしまう。今回の5匹の群れの内、俺が倒したのは1匹だけだ。
 ユウキさんと出会ってから1週間。予定を合わせて何度かALO内で俺達は会っていた。言動や会話の内容でユウキさんは恐らく自分とそんなに変わらない年齢だと思われた。その同い年くらいの女の子に頭を撫でられるというのは、どうにも恥ずかしい。
 仮想世界だからフレンドリーなのか、リアルでもこんな人なのか。思春期真っ盛りの煩悩や淡い妄想を頭の隅に押し退けるのにこっちが苦労しているのにも関わらず、ユウキさんはそんな事お構い無しに撫でたり手を握って来たりする。

「それは……ユウキさんが一生懸命教えてくれるからです……」
「え……?あ、ああ。そうなんだ。なんか、そう言ってくれると嬉しいか
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