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外伝
外伝《絶剣の弟子》@
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っているその女の子がかなり可愛い容姿をしたアバターだと今更ながら気づくと、思わず尻込みしてしまいそうになる。が、とにかく今はお礼を言わなければならない。

「あの……改めて、ありがとうございました。俺はライトと言います。今日始めたばかりの初心者です」
「ボクはユウキだよ。去年の終わり頃にALOへコンバートして来たんだ」
「そうなんですか……それで……」

 VRゲーム初心者では無いのはすぐに分かった。なんと言うか、雰囲気が違う。この世界に馴染んでるというか……居住まいが自然だ。
 どうにかこんな状況になるまでの事を説明すると、ユウキさんは笑いながら教えてくれた。

「ああゆう怪しいものは初心者にとっては即死トラップみたいなものだから、気をつけてね」
「はい……」

 初級ダンジョンの中にはごく稀に、初心者には手に負えないモンスターの出現するポイントがあるそうだ。慣れていればギリギリ勝てる程度のレベル設定で中々際どいらしいが。

「えーと、もう街に戻るのかな?良かったら送って行くけど……」
「いえ……まだ、やる事が残ってるので」
「そっか……」

 じゃあこれでお別れだねと言って笑い、翅を広げるユウキさんに声を掛ける。

「あの!まだ街には帰れませんけど……も、もし良かったら、俺にこの世界のことを教えてくれませんか??」

 しかし、俺は何故か彼女を呼び止めた。普段なら絶対しないし、そんな度胸も無いのに……何故かこの時だけは言葉を発した。

「えっと……この世界のことって言うと……?」
「えと、戦い方とか……翔び方とか……色々」

 言ってしまってから失敗したと思って焦る。これは無償で技術を教えろと言っているのに等しい。その人が長い時間を費やして磨き上げてきた技術を。でなくともいきなり女性にこんなお願いをするなどマナー的にもどうなんだ。

「あああ、あの!ごめんなさい!失礼な事を!」
「へ?何謝ってるの?良いよ、別に」
「……え?今、なんと?」
「良いよ。ボクは今、丁度することが無くて、ただここら辺を翔んでただけなんだよ。それでなくても、これからライトはALOやってく訳だし、ちゃんと楽しめなきゃ損だもんね」

 ユウキさんはそう言ってニコッと笑う。その笑顔はまるで花のように可憐で……思わずドキッとしてしまうような、そんな笑顔だった。

「ありがとうございます!このお礼は、いつか必ず……」
「んー……別にそんなのいいんだけどなぁ」
「いえ、必ずさせて下さい」

 してもらった分は必ずなんらかの形でお返しする。それは人としての一般し常識であり、俺のポリシーだ。
 ゲームの中の事といえ、それだけは曲げられない。

「ん。じゃあまずはクエスト終わらせちゃおう!」
「はい!」


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