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ソードアート・オンライン〜黒の剣士と紅き死神〜
外伝
外伝《絶剣の弟子》@
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カーソルを合わせてみれば、その子龍とは言え今のライトでは到底相手にならない差があった。
 プレイヤースキル制でレベルは無いとは言え、初心者のソロではとても相手にならないだろう。ここは何もせずに引くが勝ちと思い、巣から降りようとすると、手の届きそうな場所に黒い鱗が落ちていた。慎重に手を伸ばしそれを拾って調べてみると、とんでもないレアリティのある鱗だということが分かった。
 これを持ち帰って換金するなりすれば、初心者としてはしばらくの間、ユルドには困らないだろう金額になるのは明白。是非にでも持って帰ろうとそれをストレージにしまった時、子龍がこっちを見ているのに気がついた。
 凍る時間、走る戦慄。子龍が警戒の声を上げ、それが5匹の合唱となり森に響く。遠くで遠雷のような咆哮と地を揺るがす鳴動がライトの元に届いた時には、既に体は脱兎の如く駆け出していた。
 地龍に森中を追いかけ回され、ついに今追い詰められてしまった。
 死亡ペナルティはまだ緩いが、アイテムドロップは存在する。殆どまだアイテムを所持してない以上、あの鱗がドロップする確率は高い。

(あーあ。欲張るもんじゃないな……)

 ペインアブソーバーという機能のおかげで痛みは感じないらしい。ただし、モンスターに捕まり、咀嚼されながら死ぬというのは相当トラウマものらしいが。
 一度ログアウトしてその光景からだけでも逃げようにも、もうウィンドウを開いて操作するだけの時間は無い。

 ため息混じりに死を受け入れようとしたその時。


 空から"天使"が舞い降りた。


 すたっ、とライトの目の前に降り立ち腰から剣を抜くと同時に、"天使"はそれを振り上げた。
 ……ただそれだけ。何の飾りもなく、威力も感じない自然な動作と何ら変わらないような動きだった。
 地龍は勢いを失わずに迫り、その"天使"の前で急停止した。まるで時間が止まったようにピタッと止まった。

「えい♪」

 剣を下ろして腰を折り、指先でその地龍をつつくと、地龍は真っ二つに割れていき……盛大に四散した。
 ポリゴンの残滓が降り注ぐ中、その"天使"がくるりと振り向く。
 先程から天使と称してはいるが、色合いで言えば天使とは程遠い。
 長く伸びたストレートの髪は濡れ羽色の艶やかなパープルブラック。胸部分を覆う黒曜石の軽量戦士用のアーマーは柔らかな丸みを帯び、その下のオープンショルダーのチュニックと、ロングスカートは青紫色、腰には黒く細い鞘。細剣のように細い片手直剣をくるくると手の中で回してからそれを納めると、俺を見てにっこりと笑った。

「キミ、大丈夫?危なかったね」
「……あ、はい。大丈夫です。ありがとうございました」
「いいよいいよ〜。丁度通りかかっただけだしね」

 手を頭の後ろで組んでに笑
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