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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十三話 武器なき戦い
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ーエングラム侯は驚いていない。顔は強張らせているが否定はしない。周囲にも伏せて行ったか、知っているのはキルヒアイス、オーベルシュタイン、そんなところなのだろう。しかしそれを気付いたか、エーリッヒ……。

「仕方ない、ではこうしましょう。五人に一人ずつ希望をこの場で述べて貰う。オーディンか、ガイエスブルクか、フェザーンか、如何です?」
『……良いだろう』
リヒテンラーデ侯、フロイライン・マリーンドルフ、グリューネワルト伯爵夫人はオーディンを希望した。ワイツがフェザーンを希望するとリヒテンラーデ侯が忌々しそうな表情をした。残りは幼帝エルウィン・ヨーゼフ二世だ。

「如何する? 彼らと一緒にオーディンに戻るか?」
エルウィン・ヨーゼフが激しく首を横に振った。やはり連中に不信感を持っている。オフレッサーが大きく息を吐いた。哀れだと思ったのかもしれない。実際哀れでは有る。六歳の子供が人間不信に陥っている。エルウィン・ヨーゼフがエーリッヒを見上げた。

「予はその方と一緒に居る」
「私と? 私は反逆者だ、お前の敵だ。お前を殺すかもしれない」
一瞬だが幼帝が怯えた様な表情を見せた。
「それでも良い、その方と一緒に居る、いかぬか?」
「……好きにしろ、決めるのはお前だ、私ではない」
「その方と一緒に居る、決めた」
エーリッヒが俺を見た、苦笑している。

「困った陛下だな、エーリッヒ」
「全くだ。自分の臣下よりも反逆者に懐くとは……、先が思いやられるよ」
「こうなると誰が反逆者なのか、分かりませんな」
「そんな事より早く終わらせて飯にせんか。戦闘食では腹が膨れんし満足も出来ん。何か美味い物を食わせろ」
オフレッサーの言葉に皆が笑い出した。

『ふ、ふざけるな!』
スクリーンから怒声が響いた。ローエングラム侯が顔を朱に染めて怒っている。皇帝を奪われては一大事か。それとも愚弄されたとでも思ったか。
『卑怯だろう! ヴァレンシュタイン! 子供を懐柔して利用するなど汚い手を使って……、恥を知れ!』

「卑怯卑怯と煩い男だ、子供だな」
『何だと!』
「私を卑怯と罵るほどローエングラム侯は公明正大なのか?」
艦橋がざわめいた。エーリッヒの口調が変わった事に気付いたのだろう。あの時と同じだ、リヒテンラーデ公達を叩きのめした時と……。オフレッサーとリューネブルク中将が顔を見合わせるのが分かった。

「辺境星域で焦土作戦をとって十億人を苦しめたのは誰だ? 何の罪も無い女子供、老人を飢餓地獄に落したのは誰だ?」
ローエングラム侯の顔面が蒼白になった。侯だけではない、二人の提督も同様だ。三人とも凍り付いている。
『……それは……』
「自分は関係ない、策を立てたのはオーベルシュタインだとでも言うつもりか?」
立ち尽くすローエング
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