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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十三話 武器なき戦い
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若いな、挑発に乗ってどうする。

エーリッヒが俺、リューネブルク中将、オフレッサー上級大将の顔を見回して肩を竦めた。俺達も肩を竦めた。
「ケスラー提督、メックリンガー提督、少しローエングラム侯に落ち着くように言ってくれませんか。これでは話し合いになりませんよ」
ケスラー、メックリンガー提督が困ったような表情をした。

『侯、ヴァレンシュタイン提督の言う通りです。それでは話し合いになりません』
『小官も同感です。話し合いが不調なら戦闘になりますがそれで宜しいですか』
『……』
ケスラー、メックリンガー提督が説得したがローエングラム侯は不機嫌そうな表情をしたまま返事をしない。二人とも気まずそうだ。

「ガイエスブルク要塞に着いたら人質は解放しますよ。そこから先は自分の意志で決めれば良い。オーディンに戻るも良し、ガイエスブルクに残るも良し、或いはフェザーンに亡命するも良し、止めはしませんし阻みもしない。如何です?」
フェザーンに亡命する、その言葉を聞いたワイツが大きく頷いた。オーディンに戻っても殺される可能性が高い。生きる希望を見出したようだ。

ケスラー、メックリンガー提督は何も言わない。しかし表情に不満そうな様子は見えない。妥当な線だと思っているのだろうな。何も言わないのはローエングラム侯がどう反応するか見えないからだろう。いや正確には賛成するかどうかの判断がつかないからか……。スクリーンに映るローエングラム侯は納得しかねる、そんな表情をしている。

『解放すると言うが保証が有るまい』
「……」
エーリッヒが唖然としている。分かる、気持ちはとっても分かる。この状況で嘘を吐くと思うのか? リューネブルク中将、オフレッサーも呆れ顔だしケスラー、メックリンガー提督は表情を必死に隠そうとしている。何考えてるんだ、この馬鹿。俺なら同意したうえで接収した補給物資、輸送船の返還を要求する。少しでも取り戻せればかなり違うはずだ。

「私が信用出来ないと?」
『保証が無いと言っている』
「なるほど、嘘を吐く人間は他人が信じられないか……」
エーリッヒが大きく頷いた。そして“何を”と反駁しようとしたローエングラム侯を手を振って止めた。

「怒りましたか? しかし事実でしょう。イゼルローン要塞の向こう側ではこちら同様内乱が起きている。あれは侯の謀略だ、そうでもなければこうも都合良く内乱など起きない。帝国の内乱に乗じないようにとの考えから工作員を送ったのでしょう、捕虜交換を利用してね。“人道をもって捕虜交換に応じてくれたことを感謝する”とか言っていましたが嘘ですね。ザマーミロ、馬鹿な奴、本心はそんなところだな。だから私の事も信用出来ない」

なるほど、そういう事か……。皆驚いている。ケスラー、メックリンガー提督も驚いている。……ロ
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