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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十三話 武器なき戦い
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てきたのでしょう。そのためにも年長者の意見というのが大事だと思うのです。それにケスラー提督、メックリンガー提督、二人ともそちら側の人間です。侯にとって損は無いでしょう」
『……良いだろう、二人を入れよう』
渋々だがローエングラム侯が頷いた。スクリーンに二人が映った。

「ケスラー提督、メックリンガー提督、久し振りです。ゼーアドラー(海鷲)以来ですね」
にこやかに話しかけられ二人がゴニョゴニョと口籠った。少し迷惑そうだが仕方がない、嫌がらせ第三弾だからな。自分はお前の部下達とこんなに親しいのだと見せつけている。実際ローエングラム侯は面白くなさそうだ、当てにならないとでも思ったか……。感情を隠すのが下手だな、エーリッヒは上手いぞ。私生活はそうでもないが公務では役者になる。

「そうそう、オフレッサー閣下もローエングラム侯とは久し振りでしょう。何かお話しされては如何です?」
おいおい、ここでオフレッサーに振るか、四弾目だな。蛮人オフレッサーが“そうだな”と言って低く含み笑いをした。うん、渋い、凄味が有る。
「また会えたな、小僧。生憎だが俺はまだ生きているぞ」
『……貴様』
ローエングラム侯が呻くとオフレッサーがニヤリと笑った。

「大神オーディンは卿の事が嫌いらしい。別な誰かがお気に入りのようだな。もっとも卿の事を嫌っているのはオーディンだけではなさそうだが……」
オフレッサーが意味有り気に言ってまた低く含み笑いをした。渋い、渋すぎる、そして凄味が有り過ぎる。若いエーリッヒの脇を固める渋いトマホーク親父か、オペレータ達が感嘆している。人気急上昇だな。

「ところでオーベルシュタイン総参謀長は如何したのです? 姿が見えませんが」
エーリッヒの問い掛けにローエングラム侯の表情が微かに動いた。
『オーベルシュタインは他に仕事が有る』
「なるほど、これを機に私諸共全員始末してしまえと言われましたか。余りに煩いので遠ざけたと。……確かに邪魔な人間が多いな」
『……』
ローエングラム侯の顎に力が入った。どうやら図星らしい。なるほど、皇帝暗殺の真相を知る伯爵夫人が邪魔か。エーリッヒが暴走して殺してしまった事にしようとしたか。

「そろそろ話し合いを始めましょうか。何時までも無駄話をしていても仕方が無い」
侯がジロリとエーリッヒを睨んだ。無駄話をしているのはお前だろう、そんな目だ。その通りだよ、ローエングラム侯。卿はもうエーリッヒの術中に嵌っている。

「こちらとしては黙って道を空けて欲しい、そんなところですね」
どうやら暴露は無し、先ずは正攻法で交渉か。緊張感など欠片も無い世間話でもするかのような口調だが……。
『ふざけるな! 人質と補給物資を置いていけ。それなら通行を認めてやる』やっぱりな、ローエングラム侯が噛み付いた。
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