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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十三話 武器なき戦い
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上げた。皆が懸命に笑いを堪える。
「一度で良いから“頭が高い”、“控えろ”をやって見たかったのですよ。それに緊張が解れるかと思ってやったのですが如何ですか?」
『ふざけるな!』
ローエングラム侯は真っ赤になって振るえている、ブリュンヒルトは寒いらしい。温度調整が上手く行っていない様だ。実験艦だからな、故障だろう。
「お気に召しませんでしたか、失敗かな、これは」
そう言うとエーリッヒは俺を見て肩を竦めた。仕方ないな、付き合うか、俺も肩を竦めた。周りにはローエングラム侯は冗談の分からない奴だと見えたかもしれない。またオフレッサーが吹き出した。
『卑怯だろう!』
「卑怯とは?」
エーリッヒが目を見開いた。邪気のない悪魔、そう思った。
『陛下を利用してこの場を逃れようとは』
「ああ、それですか。しかし最初にエルウィン・ヨーゼフを利用したのはそちらですよ。何も知らない子供の名前を使って我々を反逆者にした。そちらだって相当に卑怯でしょう」
今度はローエングラム侯が眼を見開いた。
『無礼だろう、ヴァレンシュタイン! 陛下を呼び捨てにするなど』
「我々は皇帝の臣下では有りません、反逆者なのです。問題は無い、違いますか?」
『……』
「反逆罪は間違いだったというなら陛下とお呼びしますよ。しかし陛下はこちらに居ます、どうやって勅令を出すのか見物だな」
ローエングラム侯が口籠った。未だ顔は赤い。駄目だな、興奮しててはエーリッヒには勝てない。
「如何思う?」
エーリッヒが陛下に問い掛けた。陛下が困ったような顔をしている。
「分からないか?」
今度は頷いた。ローエングラム侯が驚いている。そりゃまあ反逆者と皇帝が親しいなんて普通は無いよな。でも皇帝はあの一件からリヒテンラーデ公に不信感を抱いたようだ。むしろエーリッヒの方が信頼出来る、いや自分を殺さない、安全だと考えたらしい。
「ローエングラム侯。ケスラー提督、メックリンガー提督を会話に加えて頂けませんか?」
『どういう意味だ』
「どういう意味? いえ、その方が落ち着いて話せると思っただけです」
ローエングラム侯の顔の赤みがさらに強まった。お前じゃ話にならない、そう言われたと感じたのだろう。実際そうだろうな。地味にチクチクと苛めている。
『お前が苛立たせているのだろう!』
おいおい、卿じゃなくてお前かよ。沸点が低いな、これで大軍を指揮出来るのか? 心配になってきた。リューネブルク中将とオフレッサーが顔を見合わせている。やり過ぎるなよ、エーリッヒ。
「ですから二人を入れて落ち着いて話そうと言っています。私としても後々卑怯だとか狡猾だとか言われたくないですからね」
『……』
「戦闘になるより交渉の方がお互い利が有ると思いますよ。侯もそう思ったから通信し
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