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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十三話 武器なき戦い
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たように見ていた。
「で、侯が待つだろうと思う根拠は何だ?」
「ローエングラム侯はあれで結構律儀な所が有る。それに時間前に通信してくれば足元を見られると思うだろう。負けず嫌いだからね、今頃は歯噛みしながら時計を見ているよ」
なるほど、侯の性格を良く見ている。オフレッサー、リューネブルク中将も頷いている。
「分が悪いな、俺の負けかな」
「如何かな、まあここで勝ってもガイエスブルク要塞に戻れなければ意味が無い」
「そうだな、司令官閣下の才覚に期待というところだ。……十分前だ、エーリッヒ」
「全艦に発進命令を、速度は半速でいこう」
艦隊がゆっくりと動き出す。エーリッヒがエルウィン・ヨーゼフを呼んだ。幼児を膝の上に乗せ耳元で囁いている。ところどころ内容が聞こえるが本気か? また碌でもない事を。リューネブルク中将が苦笑しオフレッサーは訝しげだ。どうやら後ろに居るオフレッサーには聞こえなかったらしい。
約束の一時間が経った。間をおかずにオペレータがローエングラム侯から通信が入った事を大声で告げた。エーリッヒが“カルーア・ミルク、二杯だぞ”と言ってウィンクをした。そして幼児を抱えて立ち上がる。
「映像をスクリーンへ」
エーリッヒの言葉にスクリーンにローエングラム侯の姿が映った。幼帝を抱えたエーリッヒを見て驚いている。
「ローエングラム侯、出迎え大義! 陛下も侯の忠誠を御喜びであるぞ」
『な、……』
ローエングラム侯が呆然としている。それを見てリューネブルク中将、オフレッサーが顔をヒクつかせた。オペレータの中には俯いて腹を抑えている人間も居る。エーリッヒは至って厳かな表情だ。どう見ても宮中の重臣、摂政だが似合い過ぎだ。戦闘食の嫌がらせ第二弾だな。
「陛下の御前であるぞ、ローエングラム侯。頭が高い、控えよ」
『……』
困惑している、如何して良いか分からないのだろう。怒り付けたいが皇帝を抱いているエーリッヒを怒鳴り付けるわけにもいかない。一つ間違えば皇帝を怒鳴り付けたと取られかねない。駄目だ、俺も腹が痛くなって来た。
「ローエングラム侯、陛下がローエングラム侯に御言葉を下さる、謹め」
『はっ』
流石に今度は僅かに頭を下げた。皇帝の言葉を無作法に立ったまま聞く事は出来ない。
「大儀である! 予の心配は要らぬ、下がれ!」
『……』
ローエングラム侯が皇帝を上目づかいに見ている。本心からかそれとも言わせられているのか確認しようというのだろう。
とうとうオフレッサーが吹き出した、続けてリューネブルク中将が、オペレータが、そして俺も吹き出した。スクルドの艦橋は皆腹を抱えて笑っている。ローエングラム侯が顔を真っ赤にしているのが見えた。エーリッヒが皇帝を下ろし指揮官席に座らせ、そして右手を上げて“静かに”と声を
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