第百九十一話 水攻めその一
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第百九十一話 水攻め
高松城は清水宗春が守っている、毛利家きっての名将と言われている。
その彼がだ、龍王山での戦いのことを聞いてからこう言った。
「わかった、ではな」
「はい、それではですな」
「我等は」
「殿は仰った」
他ならぬ元就がというのだ。
「この城を守れとな」
「そうですな、このまま」
「この城を守りましょうぞ」
「この城はそう簡単には陥ちぬ」
強い声でだ、清水は言い切った。
「例え織田家の大軍が相手でもな」
「それ故にですな」
「籠城をして、ですな」
「そうしてそのうえで」
「守り抜き」
「殿のご期待に応えましょうぞ」
「龍王山で負けてもじゃ」
それでもと言う清水だった。
「まだこの城があるからな」
「難攻不落の高松城」
「この城が」
「武具も兵糧もある」
その双方が、というのだ。
「塩も抜かりはない」
「そして水は」
ここで旗本の一人がにやりと笑って言った。
「この城につきましては」
「うむ、ふんだんにあるからのう」
「それで、ですな」
「籠城出来る」
万全の状態で、というのだ。
「何も問題はない」
「城兵は六千です」
「数もおりますし」
「来るなら来るのじゃ」
こうも言う清水だった。
「幾ら数が多くともな」
「守り抜けますな」
「無事に」
「この城で守り抜けば」
その時はというと。
「東で武田、上杉が動きな」
「織田家を攻めてくれる」
「そうしてくれますな」
「だからじゃ」
このことは清水もわかっている、伊達に名将と呼ばれる訳ではない。それでこうしたことも言ったのである。
「ここで我等が守れば」
「東の武田、上杉が織田を攻めてくれて」
「我等は勝ちますな」
「そうじゃ。少し踏ん張るだけでいい」
それで、というのだ。
「ではよいな」
「はい、では」
「ここは」
家臣達も応えてだ、彼等は高松城に籠城するのだった。その高松城の前に織田軍の大軍が到着した。すると。
信長は家臣達にだ、すぐにこう命じた。
「まずは城を囲みじゃ」
「はい」
「そうしてですな」
「城を見張るだけでなくじゃ」
それと共にというのだ。
「城の外も見よ」
「囲むその外を」
「そちらもですな」
「そうじゃ」
そうせよというのだ。
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