第三十四話 湖のほとりでその三
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「女の子は皆胸が大きくなっているわ」
「ダーウィンの進化論?」
「そうよ」
その通りだとだ、菖蒲は菊の問いに答えた。
「人間もまた然りよ」
「そうした自分の意志なり願望が進化に関係するのね」
「そうなるのよ」
こう言うのだった。
「胸もね」
「本当?それ」
「多分ね」
「多分なの」
「栄養も関係しているけれど」
「そうしたダーウィンみたいな考えも影響するかしら」
菊は少し考える顔になって述べた。
「やっぱり」
「人間も生きものだから」
「そうなのね、ところで生きものっていうと」
ここでまた言う菊だった、今度言うことは。
「滋賀の名物って鮒寿司よね」
「鮒寿司?」
薊は鮒寿司と聞いて不思議そうな声をあげて菊に顔を向けた。
「何だよ、それ」
「あっ、滋賀の名物料理でね」
菊はその怪訝そうな顔になった薊にその鮒寿司のことをこのことから話した。
「鮒の中に御飯を入れて熟れ鮨にしたもので」
「熟れ鮨ならあたしも知ってるよ」
「ええ、それなら話が早いわ」
「つまり鮒の熟れ鮨か」
「そうなの、それなの」
「成程な」
薊は今度は琵琶湖を見て言った。
「鮒は一杯いるよな」
「目の前にね」
「鮒も食えるんだったな、そういえば」
「ええ、食べられるわよ」
鈴蘭が薊に笑顔でこう言って来た。
「ちゃんとね」
「だよな、河魚も美味いんだったな」
「鮒は匂いがするけれどね」
河魚独特のそれがだ。
「食べようと思えば食べられるのよ」
「そうなんだな、関東じゃ泥鰌食うけれどな」
「柳川鍋ね」
「あたしあれ結構好きなんだよ」
「あっ、そうなの」
「結構さ、ただ河魚っていったら鯉だよな」
薊はここで鯉の名前を出した。
「あれが一番美味いよな」
「そうね、鯉はどんなお料理にしてもいいわ」
黒蘭も薊のその言葉に同意して頷いた。
「特にお刺身がね」
「だよな、そういえば今回湖に出たらいきなりそこで会ったよな」
薊はここで話題を変えた、その話題はというと。
「鈴蘭ちゃん、黒蘭ちゃんと」
「うん、私達のホテルと薊ちゃん達の旅館が近くでね」
「それで水着に着替えて湖に出たらだったわね」
「都合よく会ったわね」
「これも縁ね」
「そうだよな。縁だな本当に」
薊は右手の離れた場所に見える自分達が泊まっている旅館と左手に見える鈴蘭達が泊まっている旅館も見て言うのだった。
「こういうのって」
「和歌山でも三重でも会ってね」
鈴蘭は微笑んで薊に応えた。
「滋賀でもよね」
「何か旅行先一緒なんだな」
「ただ行く府県と火日地が同じだけでなくて」
「縁だな、まあ怪人はいらねえけれどな」
「そう言っても自分達から出て来るわ」
黒蘭は極めてクールな口調で薊に
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