21話:やみつき!!
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平和島静雄が歩き始めて、はや二時間半。
道中謎の奇声を上げて凄い速さで走る少年や飛び回る某ヒーローに似た赤い影などを見たりはしたが、まだ自分以外の参加者と交流していない。
一端立ち止まって、懐から取り出した煙草に火をつける。
彼はまだこの現状を理解できずにいた。
何故殺し合いなどに巻き込まれたのだろう。
ふぅ、と煙草の煙を吐き出す。
一服したところで気分が落ち着いた静雄は、自分が今どこにいるのかわからない事に気付く。
静雄はデイパックから地図を引き出そうとするが、その際に参加者名簿も本当に一緒に出てきたしまい、嫌な名前が視界に入る。それを見て静雄は舌打ちし、落ち着いた気分がまた悪くなる。
「あのノミ虫―――」
殺す、と。とりあえず呟く。
別に彼は零崎一賊ではないのだが、その一瞬の間に漏れた殺気は尋常なものではなかった。
折原臨也。
静雄の宿敵。
見かける度に殺害を試みる人物。
勿論今回も遭遇したら問答無用で殺すつもりではあるが、静雄は嫌な予感を感じずにはいられない。
あの折原臨也が。
殺し合いという場で、何も起こさないなど考えられない。
乗るか乗らないか、で言ったら間違いなく乗るだろう。問題はただ乗るだけではないだろうということだ。
具体的にどんな事が起こるのかは静雄には想像できない。バトルロワイアルをやりたい放題に掻き乱し、主催も予想していなかったようなあらぬ方向へと持っていこうとしているのではないか。
と、そんな風に考えていた静雄の視界に、小さな赤いものが入ってきた。
近づいてみるとそれはキャリーバッグだということがわかった。
「なんだ‥‥?」
赤いキャリーバッグ。
不自然に置かれている。
―――開けたら爆発なんてオチじゃないだろうな?
などと思いながら、ゆっくりと、慎重に、ジッパーを開く。
そして、最後まで開いても爆発することはなかった。
代わりに、狂戦士の女の子が出てきたが。
「ゆらぁりぃ」
その言葉が静雄の耳に入ってきた時。
キャリーバッグの中から出てきた少女―――西条玉藻は既に手にしていた鎌を静雄の首に突き立てていた。
本来ならば、殺し合いの会場でキャリーバッグの中に入るなど正気の沙汰ではない。そもそも殺し合いの会場であってもなくても人間がこのサイズのキャリーバッグに入るなんて無理なことだろう。
だが西条玉藻は正気でもなければ普通の人間でもない。
彼女にとって人間の肉体などは付属品であり、本体は武器。
戦闘の神に、熱狂的かつ変質的に愛されていて、その辺りは、哀川潤や想影真心にも到達できない領域に達している。故に、関節可動域が人間のそれではなく、当然動きも
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