第五章
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達を撃つ。今度もまた多くの死者達が動かなくなった。銃の煙の中からそれがはっきりと見える。
「いけているぞ」
「確かにな」
アラミスはアトスに対して述べた。
「間違いない、これで」
「我々は勝つことができる」
それがわかると心強かった。もう彼等に恐れるものは何もなかった。
「よし、次は」
「槍だ」
今度はアトスの番であった。アラミスに応えて言う。
「槍で貫く。それでまた」
「敵を倒せる」
「パイク兵、前へ!」
アトスはすぐにパイク兵達に命令を出した。それに従い途方もなく長い槍を持った兵士達が前に出るのであった。
アトスはその兵達が前に出るのを見ていた。そうしてそのタイミングを見計らってまた指示を出す。
「構えよ!」
「構えよ!」
ここでも命令が復唱される。兵達はそれを受けて槍を前に出す。それだけであるが夥しい数の槍はそれだけで恐るべきプレッシャーがあった。それが通じない相手であってもだ。
不死の兵達はそのまま向かって来る。そうして彼等も槍を構えるがフランス軍の方が早かった。彼等は為す術もなく槍に貫かれたのであった。
槍に貫かれると動きを止める。それで終わりだった。
「やはり槍も効くか」
「うむ」
アトスはポルトスの言葉に頷いた。
「これで何の問題もない。後は」
「倒すだけだ」
ポルトスの言葉がきっとなった。
「それだけだな」
「そうだ。全軍抜刀!」
最後の指示がアトスから出された。
「敵を切り捨て戦いの決着を着ける。いいな!」
「よし、ならば!」
真っ先に剣を抜いたのはアラミスであった。それに続いてポルトスも剣を抜いた。そしてアトスも。
「全軍突撃!」
「勝利を我が手に!」
最後にフランス軍の突撃が行われた。こうして彼等はようやく不死の敵達を倒すことができたのであった。
この勝利の報告もロシュフォールによってリシュリューに伝えられた。やはり彼は自身の執務室においてその話を静かに聞いていたのであった。
「そうか、倒せたか」
「はい」
ロシュフォールは彼の言葉に対して頷いた。
「無事に」
「これで我が軍は前に進むことができるな」
彼が最初に喜んだのはそこであった。
「何よりだ」
「それに兵士達の無駄な損害もなくなりました」
ロシュフォールは次にそこを述べた。
「あの三人も死ぬことなく」
「全く以って何よりのことだ。ここまで上手くいくとはな」
「それで閣下」
ロシュフォールはここでリシュリューに問うた。
「何だ?」
「あれは一体何処から御考えになられたのでしょうか」
彼がここで問うたのは武器や弾丸に刻み込まれた聖書の文字や十字架についてである。それのおかげで今回の勝利を得られたのであるからこれは当然であった。ロシュフォールもまた
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