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不死の兵隊
第四章
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 殺される。そういうことだったのだ。
「俺達は何もすることができない。何もな」
「それについてだが」
 アラミスがここで言った。
「補給物資が本国から来るぞ」
「明日な」
 アトスも言う。
「それで何とかできるそうだ」
「そう言って何度同じ言葉を聞いたか」
 ポルトスは不満を露わにしてこう述べた。
「けれど全部駄目だったな。斬ろうが撃とうが」
「次もそうだと言いたいんだな」
「あの枢機卿殿だ」
 当然ながら彼もリシュリューが嫌いだ。そもそも国王直属の彼等が彼と仲のいい筈がない。
「俺達がここで死んでくれればいいと思っているのかもな」
「そうでないことはわかっていると思うが」
 しかしここでアトスが言う。
「確かにいけ好かない御仁だがそうしたことをするような方でもない」
「そうだな」 
 アラミスもアトスのその言葉に頷いた。
「だとしたらとっくの昔に見捨てられているぞ。補給もなしにな」
「それはわかっているが」
 それでもだ。やはりリシュリューが好きでないのだ。ポルトスはそれがわかっていて複雑な顔になった。
「だとしたらここは枢機卿殿を信じよう」
 アトスは話を纏めてこう述べた。
「三日後その受け取った武器で戦いを挑む。それで無理だったならば」
「フランス本国へ撤退か」
「そうだ。それでいいな」
「うむ」
「それで行こう」
 こうしておおよその方針は決まった。しかし自信がないのは変わらない。三銃士もこれで話が終わるとは思っていなかった。だがそれでもそうするしかなかったのであった。
 補給物資を受け取った。三銃士はその物資を見てまずは顔を顰めさせた。
「何だ、これは」
「これは一体」
 武器を見てそれぞれ言う。その武器は普通ではなかったのだ。
「これは聖書の文字だな」
「しかも十字架まで描かれている」
 そうなのだった。武器や弾薬にそれぞれ聖書の言葉や十字架が刻み込まれていたのだ。彼等はそれを見て目を顰めさせたのである。
「何のつもりなんだ」
「こんなことをして」
「アラミス」
 アトスは三銃士の参謀格であるアラミスに問うた。
「どういうことかわかるか」
「いや」
 だが彼は残念そうに首を横に振るだけであった。その手にその武器や弾薬を持ちながら。
「私にもわからない。これは一体」
「とにかくこれを使って奴等の相手をすればいいんだよな」
「それは間違いない」
 アトスはポルトスにこう答えた。
「それだけはな」
「わかった。じゃあそれでいい」
 ポルトスはそれで納得した。
「駄目で元々だ。それならな」
「そうだな。どちらにしろこのままでは何にもならない」
 アラミスもポルトスの言葉に頷いた。
「やられる前にだ」
「そういうことだ」
「よし、では全員に
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