第三章
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得ないことも起こる」
リシュリューの言葉が哲学めいてきた。彼にしろ枢機卿である。だからこそ今の言葉も似合うと共に説得力のあるものであった。
「それが今なだけだ」
「それで閣下」
ロシュフォールはここでリシュリューに問うた。
「その今を打開する為にも」
「整い次第送らせる」
哲学者から政治家に戻って話をした。
「それでよいな」
「はい。ではそのように」
「準備自体は速やかに終わる」
それがリシュリューの言葉であった。
「それは安心していい」
「ではアトス達は助かりますか」
「その前にあの三人を失うわけにはいかぬ」
これはフランスを預かる者としての言葉であった。確かに彼も三銃士は好きではないがそれ以上にフランスにとって優れた軍人である彼等を失うという事態を恐れたのである。そうした合理的で鋭利な頭脳こそがリシュリューをリシュリューたらしめていたのである。
「そういうことだ」
「それは私と同じことですか」
「だが根本が違うな」
それは認めながらもこう告げる。
「違いますか」
「私は政治家だが卿は軍人だ」
彼が言うのはそこであった。
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