暁 〜小説投稿サイト〜
フリージング 新訳
第8話 Accelerating Turn 3
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
いく。

そして、遂に………

スパァン!と、短い音が響く。
その直後に、二人の姿がハッキリと見える。お互いに背を向けたまま、振り返りはしない。
そして、先輩の頬に一筋の傷ができた。
それは、サテライザー先輩の、ではない。

「っああああああああああ??????」

カンナヅキ・ミヤビの頬にだ。
絶叫を上げながら、彼女は地面に座り込む。たった一筋の傷でも、彼女には許せないほど大きな意味を持つ傷なのだろう。
その絶叫は、次第に笑い声へと変わる。

「やってくれるじゃないの……いいわ…本気でやってあげる!」

カンナヅキ先輩が何か合図を出した。
それと同時に、俺の行く手を塞いでいた取り巻きどもが、一斉に右手を翳す。
嫌な予感が走った。

『フリージング!』

その瞬間、俺の体に異常が起きる。

「っが??」

重いのだ。なんとか、膝をつくことは免れたが、動けない。地面には、ひし形のタイルが敷き詰められており、それがまるで俺を縛り付けるかのように脚にも張り付いている。

「な……んだよ、これ!」

フリージングと、奴らは言っていた。
おそらく、これがリミッターとしての役割なのだろう。ノヴァを拘束するためのリミッターに与えられた技術。
それをパンドラに使うなよ……

逃れようとするが、不可能だ。体が動かない。
それは、サテライザー先輩も、同じだった。

「くっ??」
「ほぉら、なにボサッとしてるの?」

フリージングの拘束によって、サテライザー先輩はアクセルを使えていない。
だが、あのリミッター達と契約まがいのことをしているカンナヅキ先輩は、いくらでも使えるのだ。

これではサテライザー先輩にとって、部が悪すぎる。
だが、それでも彼女はその刃を弾き、戦線から離脱しようとする。
それは正しい判断だ。フリージングが完全ではないこのタイミングに逃げるのは、正しい。

だが、一歩遅かった。先ほどよりも、体にかかる負荷が倍化したのだ。

「くぁっ………!」

サテライザー先輩が離脱しそうな姿に安堵したのか、脚から力が抜け、その場に倒れこんだ。

大丈夫。先輩が行ってくれれば、後は逃げればいい。

だから、少し目を瞑っても………

「手を??」

え?

ふらりと、閉じかけていた瞼をあげると、サテライザー先輩が俺へと手を伸ばしていた。

接触禁止の謳い文句は何処へやら……

その姿は、やはり、姉さんに、酷似していた。

「早く??」

ふらりと手をあげる。

だが……

「グァァ??」

半歩遅かった。俺たちに、フリージングが完全に掛かってしまったのだ。

「あらぁ?なに、もう動けないわ…け!」
「ガハッ!」

カンナ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ