第二章
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ポルトスの言葉はまたしてもはっきりとしたものであった。
「どちらがいい?」
「それは決まってますよ」
「やっぱりそうなると」
「そうだな」
アトスは兵士達の言葉に頷いてきた。
「戦うしかない。しかしだ」
「奴等はもう既に死んでいる」
アラミスはそこを指摘する。
「だからだ。斬ろうが撃とうが」
「死ぬことはない。どうしたものか」
アトスの顔が難しいものになった。問題はそこなのである。彼等は既にこの世の者達ではない。だから幾ら攻撃しても何の効果もないのである。だからこそ誰もが困惑しているのだ。
「隊長」
その中で見張りの兵士が彼に報告する。
「また来ました」
「数は?」
「おそよ二千」
「二千か」
アトスはその数を聞いて考える顔になった。それからまた述べる。
「数のうえでは互角だ。しかし」
「ああ」
「奴等は倒れることがない」
ポルトスとアラミスがそこを指摘する。
「だからだ。同じ数でも」
「私達は敗れるしかないのだ」
「そういうことだ。ここは仕方がない」
「撤退されるのですね」
アトスの言葉に兵士の一人が問う。
「やはりここは」
「ここで戦っても無駄な損害を出すだけだ」
アトスは無念そうに首を横に振りながら彼に答えた。
「それならば仕方がない。撤退するしかないのだ」
「無念だな」
「ああ、全くだ」
ポルトスもアラミスもアトスと同じ顔になる。しかし彼等も同じ考えであった。また彼等にしろそれを否定することができなかったのである。理由もアトスと同じであった。
「戦っても意味がないというのならな」
「退くしかない」
「敵がさらに来ました」
見張りの兵士が今度はポルトスとアラミスに対して告げるように声をあげた。
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