マブラヴ
0858話
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だが、その目や口調には夕呼に対するものと同様に好意の類は一切含まれてはいない。寧ろ非常に不本意だといった雰囲気さえ発している。
それとこちらに対する強い警戒があるが……まぁ、これに関してはな。BETAという存在と接している以上、俺達シャドウミラーに対して不審を抱く気持ちは分からないでも無い。
ともあれ、この月詠という女があの機体の護衛に付いてくれたのは色々と助かった以上礼は言っておく方がいいか。
「月詠中尉、機体の護衛ご苦労だった」
「いえ。上からの命令ですので。……ですが、もしよろしければ一言よろしいでしょか?」
「構わない。何だ?」
「飛鳥計画というのは斯衛軍の中でも非常に力を入れている計画です。斑鳩家にまで手を回させてその計画の機体を手に入れ、どうするおつもりなのか聞かせて貰えれば幸いです。……まさかどこか他の国に流したりは……」
「ないわよ、そんなの」
月詠の質問に言葉を返したのは、俺ではなく、レモンでもなく、夕呼だった。
小さく溜息を吐きながら肩を竦めた夕呼は、顔を前で手を軽く振っている。
「大体月詠中尉だってシャドウミラーのアラビア半島での戦いの映像は見たんでしょ? なら、シャドウミラーの技術があたし達を大きく引き離しているってのは十分知ってる筈だと思うけど?」
「はい、それは勿論知っています。ですが、それでは何故この方達は飛鳥計画や不知火に目を付けたのでしょう? 彼等の技術力が私達を大きく上回っているのなら、そのような事をする必要は無いのでは? 考えられるとすれば、この世界の他の国に対するカードとして……」
「ないない。そもそも、他の国に対するカードだっていうなら食料とか他の世界の兵器とかで十分でしょ」
「では、何故!」
「そうね。この世界の技術を検証する為……というのが、一番あり得そうなんだけど。違う?」
チラリ、と視線を向けながら尋ねてくる夕呼に、レモンは笑みを浮かべて口を開く。
「そうね、否定はしないわ。どちらかと言えば研究用という意味が強いのは事実よ」
「……研究用、ですか」
呟き、目に一瞬だけ不満そうな光を浮かべるもすぐに小さく頷く。
「それが日本帝国の為になるのであれば、私はこれ以上何も言いません。……ですが、この飛鳥計画に関しては多くの人々が日本の為にと力を結集している機体なのです。それをお忘れ無きよう」
「ふーん、日本帝国の為に……ね。どちらかと言えば自分達の見栄の為じゃないの?」
レモンの口から出たその言葉に、月詠の眦が釣り上げられる。
「我等日本帝国を愚弄するおつもりで? 幾らシャドウミラー方と言えども……」
鋭い眼差しでレモンを睨み据える月詠だったが、数々の化け物とすら言える敵と渡り合ってきたレモンを怯ませるには多
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