1巻
澪にとっての初陣×対ドウター戦
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織斑家を追い出された成瀬澪は、万理亜と共に高台にある公園を訪れていた。一真とバイクで街を散策した日、一緒に夕焼けを見たあの公園である。ここに来てから時間としては三十分、澪は黙って夜の街を見続けていた。ここから見る夕焼けもそうだが、夜の夜景というのもそれはそれは美しい光景だった。建物の灯り、車や電車のライトは、まるでイルミネーションのようで澪は思う。満天の星空を上から見下ろせば、こんな風に見えるのだろうかと。
「(アイツの言ってた通りになったわね)」
ここの夜景の美しさを教えてくれたのは、三十分前に出て行けと言われた織斑家の兄である一真だった。張本人はその上空から見張っている事については全く気付いていない程だった。澪達後方には、尾行を続けていたクロウ達と朱音達であるが気配を消して後ろを見ていたが月中基地支部にいるフェルトからの通信でまもなくここにドウターゲートが出現する事を。
「やっぱり、一緒は無理だったわね・・・・」
あの時、一真が口にした誘いに、澪は曖昧な答えを返した。解っていたからだが、あの二人が神族と分かっていて接してくれたのは私達を騙すためだと思ったが騙す側はこちら側だという事もきっと察知していたのだろうと思った澪。初めて会った時からずっと自分達は一真達を騙していたのだから。
「あの、澪様・・・・お気を落とさないで下さいね」
隣の万理亜が、気遣う瞳でこちらを見上げてきた。その姿は人間のものに戻っている。
「彼らが神族でしかも上位神だったとは、運が悪かっただけです。別の相手なら、きっと・・・・」
「ううん万理亜・・・・もう誰かを騙して、どうにかしようとするのは止めにしようよ」
澪は首を横に振った。
「出来れば周囲を巻き込まないように、どこかにあたし達の拠点が欲しかったけど・・・・それで誰かを騙すのも、やっぱり嫌だから。それにこの辺り周辺一帯にいる人間達はきっと一真の仲間達が人間の姿をして紛れ込んでいると思うのよ」
別にお金がない訳でもない、死亡した澪の養父母は十分な蓄えと遺産を残してくれている。だが拠点として、理想的なのは一軒家だ。下手にアパートやマンションなどの集合住宅を選べば、他の部屋に住んでいる人達を巻き込んでしまう。それに一真の豪邸もそうだ、自分達がいる間はメイドや執事が一人もいなかったが恐らく地下かどこかに隠していたのだと推測できる。豪邸に三人だけで暮らしているのは不可能に近いから。あとは澪は未成年であり身寄りもないし、万理亜は外見は子供にしか見えない。この歳で住居を買う事や借りる事もできないが、万理亜が魔法で記憶操作が可能だが未成年で買い、不動産関係者や近所の者達一斉に記憶操作をしなければならない。立場や関係に合せての記憶操作というのは、術者の力によって異なるため万能ではない
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