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黄龍の転生者と四神の乙女達
二話
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識は無い。海外ならばそれなりの大木は存在しているが、目の前の木はそれらと比べても群を抜いている。少なくとも、そんな物が有れば今頃観光の名所となっているだろう。
 また、周囲の建物は日本とは思えない西洋風の物で此処が日本であると忘れさせる。

 初めて見る異世界の景色……自分達の住む世界の日本との違いは単純に見ているだけでも楽しい物がある。

 時折、電車や車よりも早く走る中学生や、人が文字通り吹飛ばされる光景などが繰り広げられているのには、四季の二度目の人生では何度か経験したが、そう言った経験が四季以外にない詩乃は唖然とする事が多い。

(可愛いな)

 初めて旅する異世界の地、楽しそうな彼女の横顔を見ながら思う。……やっぱり自分は彼女の事が好きなのだ、と。この告白で彼女との関係が壊れたとしても、その選択に悔いは無いだろう。

 そんな中、一人の教師の姿が目に写る。

(……かなりの実力者……。魔法使いの関係者って奴らしいな)

 喧嘩をしている生徒らしき男子を数人纏めて鎮圧する教師の動きを見ながら、使っているで有ろう技を分析する。

(面白そうな技だけど、パッと見だと応用性は発頸の方が上だな)

 バトルスタイルが徒手空拳技《陽》なだけに同じ拳士の技ならば、ある程度技の秘密は見ただけでも理解できる。……その上で分析するが、四季には似た様な技で応用し易く、発展系の技を会得しても使い慣れた《掌底・発頸》があるので、覚えた所で意味がある技とは思えないのが残念な所だろう。

 暫く詩乃と麻帆良を巡っていると、最後は麻帆良を一望できる場所に来ていた。

「綺麗ね」

「そうだね」

 彼女の横顔に見惚れながらも夕日に照らされた彼女の横顔が誰かと重なるのを覚える。

(この記憶は……今のじゃない……前の)

 仲間と呼んでいた者達に裏切られてステーションへの移動手段を奪われた時の記憶。その中で戦った相手の中に、

(……前の人生の詩乃がいた?)

 何故と言う疑問が沸くが、答えはすぐに辿り着く。最初に会った時の誘拐事件……《力》を狙った誘拐だったのだろうが、あの時阻止できたのは幸運としかいえなかっただろう。

(……出会えたんだな、前の人生でも……詩乃に)

 力を持つモノ同士が引き寄せあうから等と言ってしまえばそれまでだが、それでも前世でも彼女と出会えた事は嬉しく思う。例え、それが敵同士だったとしても……。

「なあ、詩乃」
「ねえ、四季」

 初めて出会ったあの時から、四季は何処か彼女に惹かれていた。

「君の事を」
「貴方の事を」

 仲間も家族も信用できない中、誰もが心から信用できない中で始めてであった心から信頼できる相手。何度も彼女と関わる中で彼女の事が好きにな
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