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101番目の舶ィ語
第十六話。遅咲きの桜
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桜花』が放てるようになったんだけどな。
その『桜花』を自損しないように亜音速で放ち、さらに遠山家に伝わる奥義も放つ。

「______桜花ッ______!」

俺の拳の先から、桜吹雪のような円錐水蒸気(ヴェイパー・コーン)が放たれる。
拳が虫ゴーレムに直撃したのと同時にインパクトの瞬間に『秋水(しゅうすい)』を放ち、体重を乗せて全ての力を虫ゴーレムに伝えた。

______ドシャァァァ。

大量の虫達のおよそ3分の1にあたる虫ゴーレムは俺が放った一撃により吹き飛んだ。
地面に倒れた虫ゴーレムは赤い光となって消えていく。

「うわぁー、凄い、凄い!」

キリカは興奮気味に目を丸くしながらもはしゃいでいる。
喜んでいるのなら何よりだ。
だが……。

「チッ……数が多いな」

虫ゴーレムを倒しても、それでもまだ大量にいる虫達に襲われ、俺は身動きが取れなくなっていく。

『桜花』気味に蹴りを放ち、牽制しながら後退していくがこのままだと喰われるのは時間の問題だ。
数の暴力には、装備品もない俺ではさすがに辛い。

「もう諦めたら?
諦めれば楽になるよ?」

絶対絶命な状況。
確かに俺の不利な状況だ。
だが、諦めるという選択肢はない。

武偵憲章10条。『武偵は決して諦めるな!』

パートナー(アリア)から禁止された言葉。
『『ムリ』『疲れた』『面倒くさい』。
この3つは、人間の持つ無限の可能性を自ら押し留める良くない言葉。
二度と言わないこと』

ヒステリアモードの俺の頭の中でそれらの言葉が浮かんだ。
そしてその言葉と共に俺の頭の中であるイメージが浮かんだ。
そして俺が思い描くそのイメージは具現化されていく______
俺にとってのロアとは何かを。

「もう、諦めなよ。
この状況をひっくり返すなんて不可能なんだから」

キリカの呟きが聞こえた。

「不可能?
キリカは本当にそう思っているのかな?」

そして______大量の虫達が一斉に俺に迫ってきて俺の視界は真っ赤に染まった。
大量の虫達が俺の全身を覆い被さるかのように、俺を包み込むかのように喰らいついてきた。
ザワザワと獲物に群がる大量の虫達。
だが、その気持ち悪さもまた、俺に闘志を起こさせてくれている。
そして顔を虫に覆われる中で、俺は口を塞がれる直前に、その言葉を言い放っていた。


「______なら、この不可能を可能にしてみせよう」
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