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101番目の舶ィ語
第十六話。遅咲きの桜
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かもしれないな。

「それじゃあ、何で俺に色々考える余地とか余裕とか、俺のロアに関する情報とかくれたんだ?」

「あー、うーん、多分……」

「多分?」

「多分、本気でちょっぴり、モンジ君との生活が名残惜しいんだと思う」

……そっか。
なら仕方ないな、と思うし、同時に嬉しいとも思う。
こんないかにも『悪い事も笑顔でいくらでもします!』みたいなキリカに、そう思って貰えるというのが、とても嬉しい。
嬉し過ぎたからこそ……やっぱり悲しくなった。
名残惜しいという事は、それでもここで終わらせるつもりだからだ。キリカは。

「でも、うん、そうだね。モンジ君、君の事は結構好きだったよ」

名残惜しいと言ったキリカも心の中で切り替えたのか、真っ直ぐに俺の目を見つめると、そこにはもう迷いはなくなっていた。
……こういう、名残惜しいものを、名残惜しい気持ちのまま、何度も食べたのだろうか。
だとしたら、あまりに可哀想過ぎる結末で可哀想な生き方ではないだろうか。

「それじゃ、いくよ」

キリカが決意して言い放った言葉に負けずと俺もお決まりのセリフを言う。
今はもう、五月。
その花びらはすでに散っているけど……。

「______この桜吹雪______」

「バイバイ、モンジ君。君の事は、やっぱり好きだったよ」

「散らせるものなら、散らしてごらん」

これが最後になるかもしれないこの決めゼリフも、言うのは前世を含めると何度目になるのだろうか。

キリカが手を俺に向ける。
瞬間、大量の虫達が俺に向かってドバーッと遅いかかってきた。
もう、何匹いるのかも解らない。どんな種類の虫達がいるのかも解らない。
おぞましい塊が、俺のいる場所に大量に群がってくる。
中でも虫ゴーレムはその姿とは裏腹にかなり速い速度で向かってきた。
赤い巨人が向かって来る姿はかなり不気味だ。
それでも俺は怯む事なく、自ら、自分から虫達に向かって駆け出した。
もう、がむしゃらに。
俺には一つも武器はない。
何もない。
だが、一撃入れる。絶対に。
それだけ考えて……拳を振るう。

(この距離なら______出来る……!)

「ちょっとだけ季節外れになってしまう花だけどね。
それでも咲かせてみせよう……遅咲きの桜を」

俺の得意技で、自損技でもある超音速の打撃技。
『桜花(おうか)』。
全身の骨格・筋肉を同時に動かし連動させる事で時速1236qの速さで放つ、散った桜の花が二度と元の枝に戻れないように、一度使うと二度目はない______相打ち狙いの超音速技。
もっとも、何度も使ううちに改良ができて半自損どころか、逆ベクトルに『桜花』放つ第2の『桜花』の『橘花(きつか)』や亜音速に留める事で自損しない『
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