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101番目の舶ィ語
第十六話。遅咲きの桜
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るわけだ。
そういう意味では、『魔女』という存在は不利なのかもな。
様々な物語、童話、神話などで大量に倒されているからな。
だから多くの弱点も存在していたりするのだろう。
多くの弱点を持つから正体を一之江に掴まれる前に、キリカの方から仕掛けたい。
だから利用できそうな俺をすぐには食べずに、情報を吐かせたい。
……そういう事なのだろう。

「なんだか色々考えたー。みたいな顔をしているね?」

「キリカは本当に人の顔色や空気を読むのが上手いね?」

「うんうん。モンジ君が、あの子の事を語らないようにしようと決意したのも理解出来ちゃったよ」

「女の子の秘密は守るのが紳士の鉄則だからね」

「ふふっ……そのご馳走の情報は、どうやったら紳士さんから引き出せるかな?」

ニマニマと微笑みながら、キリカはベンチからゆっくりと下りた。
そして俺と顔を合わせないようにするかのように着地し背を向けた。
下りた場所にいた虫ゴーレムや赤い虫達は、一瞬でキリカから等距離に離れる。
その足元には赤い円が出来上がっていた。
……赤い円がある限り虫達はキリカには触れない、という事だろうか?
そんな事を考えながらも俺はキリカから距離をとって少しずつ後ろへ後退していく。

「モンジ君、この状況で自分が何か出来ると思ってる?」

「ああ、もちろん出来ると思っているよ!」

「そっか……失敗しちゃったなあー。
君にはもう『主人公』になる覚悟があるんだね」

キリカは俺を振り返らないまま、そう呟くと、ゆっくりと噴水の方に歩いていき、そこで一度足を止めた。
赤い虫達はキリカの後を追いかけるようにして群がっていく。
自分の周囲には決して虫を寄せ付けないままに。
だけど、彼女はその虫達を意のままに操る事が出来る。
蟲使い、という存在でもあるのか。蟲を操る『魔術』を使えるのか、は解らないが……。
『魔女』という存在からして後者だとは思うけどな。

「なあ、キリカ」

「うん?」

「……どうして、かなり勿体ぶっているんだい?」

「あ、うーん、やっぱり、そうだよね」

「ああ、この場合。時間稼ぎをするのは襲われる俺の方で、襲うキリカにとっては時間稼ぎなんて事はむしろされたくない事だからね」

そう。キリカはいつでも俺を襲えた。
そして襲ってしまえばキリカはすぐに俺の精神を食べれたはずだ。
大量の虫に襲われればいくらヒステリアモードの俺でも不利だからな。
数の暴力には、ヒステリアモードであろうと、まともな装備もない俺ではひとたまりもないからな。

「うん。どっちかと言うと、他のロアがこの霧に気づく前になんとかしたいんだよね」

この霧もキリカの力のようだ。
魔女だから、『霧の魔術』とかも使えるの
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