第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
七月二十七日・夜:『剣理:殺人刀』
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だった事に変わりはない。
何か、重荷を手放したように穏やかな死に顔の鷹尾 蔵人に対し……何か、重荷を背負い込んだような苦い顔で。
「後は、あのクソッタレだけか」
嚆矢は、未だ微睡む“屍毒の神”を見据えて。その偉容、瘴気。自らの全存在が、『逃げろ』と喚き散らすモノへと向かう。
《嚆矢よ》
(……何だ)
脳内に響いた声、“悪心影”の。それに苛立ち半分、返事を。
《貴様が、生きる目的は何だ》
問いは、彼にとっては心底、どうでも良い内容。今更、そんな事は……どうでも良い。
だが、その声。それは、昔────
『あ? 死ぬのに鍛える意味があるのか、だァ? 阿呆か、死ぬからこそ限界まで辿り着けるんだろうが』
何処かの誰かが、拳骨を落とされながらも屈強な背中に問い掛けた言葉と同じ、意味であり。
「識りたいんだよ、全て。俺が識れる全て、識れない全てを……この世の全てを、識りたいから。俺は、生きる。誰を、どれだけ殺そうと」
《………………》
唯一、抱く願いを。多分、生まれて初めて他人に口にして。黙りこくる“悪心影”を尻目に、次なる敵に向けて歩き出す。
《呵呵……呵呵呵呵呵呵呵呵! そうか……分かるぞ、その好奇心。儂もまた、同じであったからのう》
背後に、再び感じる気配。混沌の渦が巻き起こるのが分かる。しかし、違うものがある。背後にいるのは同じ、だがしかし。
《さぁ──────残るは、“屍毒の神”のみじゃ、さっさと討ち滅ぼして、『かれー』とやらを頂きに参ろうぞ》
「あぁ……そうか、家賃も払わなきゃだった」
そんな、やたらと即物的な事を考えながら。曲がりなりにも、神を殺す戦いへとその足を進める─────
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