プロローグ
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た少年は、花弁のような六枚の盾を展開して防ごうとするが、砲弾が着弾すると一瞬の均衡で盾が相殺され、爆風によって後方に吹き飛ぶ。
少年が立ち上がる前に、青年は大砲の銃口に片刃の剣をジョイントして大剣とすると、それを構えて距離を詰める。
「ヒ、ヒィッ!!来るな!来るなぁあ!!」
「生憎だが、お前を見逃すことはできないんだな。ま、自業自得だから諦めろ」
「くそう!何故だ!?お前もチートを貰って転生したんじゃないのか!?」
「黙れ」
少年の喉元に刃を突き立ててることで、口を閉ざせる。
「突然、邪神に利用されて転生する破目になったことには同情する。だけどな、安易に能力に頼って、好き勝手迷惑考えずに暴れる、犯罪を繰り返すお前は、社会にとっては問題だろうが俺の害にならなければどうでも良い」
「な、なら…」
青年の言葉に、一縷の希望を抱いた少年は青年を見上げる。
だが、そこにあったのは仮面越しでも伝わる冷徹な感情であった。
「お前は、俺の家族に手を出した。そして、このベルトは託された物だ。意図的にではないだろうが、貶めたお前を俺は、許さん。あと、ついでだがお前のような不正転生者の討伐は報酬が入るんでな」
『ロックオン!イチ・ジュウ・ヒャク・セン・マン・オク・チョウ・ムリョウタイスウ!!』
「カッ……ハ…!?」
再度、錠前を装填した大剣が炎を纏い、青年はそれを無情に少年へと振り下す。
斬り付けられた少年の体は、傷口から光の粒子を撒き散らしてこの世界から姿を消した。
少年が消えると、半壊していた店内が一瞬の内に何事も無かったかのような状態へ戻り、まるで少年など初めから存在していなかったようであった。
それを確認した青年は、携帯を取り出してどこかに電話をかける。
「もしもし、俺だ。そっちに送った奴だが、ああ、了解。報酬はいつものところによろしく。騒がせたな、マスター」
店の奥にいた店主は何も言わず、青年の言葉に頷いただけで再びグラス拭きに戻ってしまう。
少年が消えた跡を一瞥した青年は、変身を解くとカウンターに勘定を置くと店の外へ出て行った。
カランカラン、と店のドアに掛けられた『アーネンエルベ』と彫られた木札が音を鳴らすのを聴きながら、青年は足を止めてため息をつく。
「ご無事で何よりです、アーチャー」
「マスター、アーチャーなんて堅苦しい呼び方は止めて欲しいと何度も言ってるじゃないか」
ため息をついた青年に、車椅子に乗ったウェーブのかかった穏やかな気品を感じられる女性が声をかける。
「マスターではなく、フィオレです。聞いてますか、コウタ?」
「聞いてるって。フィオレ、これでいいだろ?」
「全く、カレンさんとは名前で呼び合う中なのに…」
車椅子の女
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