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101番目の舶ィ語
第十五話。魔女喰いの魔女
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赤い虫達。
その中には、見たこともない不気味な足がいっぱい生えた虫までいた。

「美味しそうな、強い魂の人間は食べちゃうかな?」

その瞬間、ゾッとした。
もしかして、いや、もしかしなくてもこの虫達が俺を襲って食べる、という事だな……これは。
それに、もしかしたらこの虫達のように、自動的に群がるような状態だった場合……Dフォンは、警告出来ないのではないか?
そう思った俺は片手を動かしてDフォンを操作しようとして______

「おっと、ダメだよモンジ君」

「何がだい?」

内心ギクりと動揺しながらも平然を装ってキリカに返事を返した。

「『百物語の主人公』がどんな能力を持っているかは解らないからね。多分、そのDフォンが特殊である、というのは……他の物語の『主人公』達の経験からして、間違いないと思うんだけど」

「他の主人公達とも、面識が?」

「うん、私は魔女だからね。何人もやっつけたよ♪」

「その人達も食べた……のかな?」

ちょっと意地悪な質問かなあ、と思いつつ尋ねるとキリカは______

「うん♪」

すっごいいい笑顔で頷いた。

「……物理的意味で、かな?」

「性的な意味で」

「本当に??」

「う・そ♪」

「く、これが『魔女の口車』か……」

「あははー!モンジ君ってばやっぱり面白いねー」

楽しそうなキリカはやはりいつも通りだった。
だからこそ、ちょっとだけ寂しくなったり、悔しく思ったりした。
キリカが人間ではなくロアだから……という理由ではない。
キリカが『ロア喰い』である事や、『魔女』である事とか、そんな事はぶっちゃけ、俺にはどうでもいい事だからな。
そんな事より……俺はキリカがちょっと怖いと思ってしまった。
そして……そう思ってしまった自分が許せない。

「ごめんね、キリカ」

「うん?」

「キリカの事、友達なのに、親友なのに、ちょっと怖いって思ってしまったんだ」

それが俺には悔しかった。
一之江と違って姿も見えているし、キリカらしい部分もいつも通りだったのに、親友で大好きなキリカの事を、一瞬でも怖いと思ってしまった。
そんな自分が許せない。

「……なんで謝るの?」

「それは大切なキリカの事を、大好きなキリカの事を怖いって思ってしまったからだよ。
女性に対してそんなの失礼だろ?」

キリカはそう告げた途端、目をきょとん、と丸くした。
直後、肩を揺らして笑い出した。

「あ……あはははは??そっか、怖がらせてるのにね、私!なのに、モンジ君ったら、そう受け止めるんだ、あはは!だからモンジ君の事、好きだよ私!」

ベンチの上でお腹を抱えて笑うキリカ。

「俺も好きだよ、キリカ」


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