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101番目の舶ィ語
第十五話。魔女喰いの魔女
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利って何がだい?」









「お・しょ・く・じ♪」

言葉と同時に、大量の虫達が赤い巨人のように、むくりとキリカの隣に立ち上がった。
その内部も表面も、まるでエサに飢えた獣のようにざわざわと蠢いている。

「……まさかと思うがお食事って」

キリカの目はいつの間にか、爛々と赤く輝いていた。
まるで人間ではないかのように。
大量の虫達を脇に従えて、ベンチの上でニコやかに佇んでいる。

「本当はね、もっとゆっくりと過ごすつもりだったんだけど……モンジ君がそんな凄い存在になっちゃうなんて思わなかったしね」

「そんなに凄い存在なのかな」

「まあね!素質はあるなー、と思ってたんだけど。ロアの世界に来てもやっていけるようなそんな素質があるって。でもだからって、よりによって『百物語の主人公』だなんて。しかも『不可能を可能にする男(エネイブル)の主人公』も同時に持ってるなんて。本当にビックリしたんだよ?あの当選を教えてくれた時は」

「まあ、俺もビックリしたからな」

「ノーマークだった『お友達役』に選んだ子が、まさかの大抜擢。私としては、おかげで長居できなくなっちゃったんだよね。いつか、正体がバレるかもしれないから」

「まさか、って言いたいのは俺も同じだよ。
君みたいな子がまさか、本当に魔女だったなんてね」

「もう、私がこの公園に来た時には既に解ってたくせに」

「キリカ……君が『ロア喰い』なんだね」

「うん、私の別名みたいなものだね。本当の私は『魔女喰いの魔女ニトゥレスト』って言う、ロアなの」

「ニトゥレスト……」

その名前にどんな意味があるのかは解らないが、それがキリカの本当の名前なんだろう。

「ロアを食べて、ずっと生きているっていう魔女のロアか……」

キリカが『魔女喰いの魔女』
今まで何度もこの可能性を否定してきた。
それは信じたくなかったからだ……キリカがロアで俺の事を、クラスメイトの事も騙していたなんていう事を。
だが、本人の口からそれを言われてしまったからには、信じるしかない。
別に本当の『ロア喰い』がいて、キリカを操っている、という可能性も考えられなくはないが……希望的観測過ぎるしな。
何より、俺のDフォンがほのかに赤くなっているのが証拠だ。
しかし、一之江の時と比べて熱すぎるわけではない。
……絶対的な危険ではなく、あくまで警戒レベルって事かな?
となると、キリカは俺に危害を加えるつもりはないのかもしれないな。

「ロアを食べて生きる、って言われているんだけど……ただ、私は『魔女』だからロアに限らず……」

キリカがその手をベンチに平行に持ち上げると、さらにぽたぽたと血を落とす。
そこに、さらにどんどん、群がる
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