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101番目の舶ィ語
第十五話。魔女喰いの魔女
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っ、ちょっ……キリカ……やめ……」

「ふふっ……」

蜘蛛が獲物をとらえた相手をじわじわと糸で包み込むみたいに、キリカは俺を捉えようと動いた。
顔を俺の頬に近づけてくるキリカに、完全無抵抗な俺。
なすがままにされる中、その手が俺の下半身の方に行き______


バチッッッ??


「っ??」

「痛でえぇぇ」

突然、そのキリカの手と俺の手元から、赤い火花が散った。
その衝撃は、それまでキリカに抵抗しようとしなかった俺が我にかえるほどであった。

「痛え……大丈夫か、キリカ?」

ヒステリアモードの俺は自分の事よりもまず、キリカの心配をしてしまいキリカの方を見た。
見るとキリカの手からは血が出ていた。

「ごめんよ、痛むかい?」

「ううん……ふーん、なるほどね」

キリカの手をハンカチか何かで慌てて抑えようとする俺だったが、キリカのその視線を見て手が止まる。キリカの視線は、無邪気なものでもなく、色っぽいものでもなかった。
まるで人が虫を見るかのような冷たい視線で……
俺の手______に握られた、Dフォンに向いていた。

そう、さっきの火花は、Dフォンがキリカを拒絶するかのように電撃めいた力を発したものだったんだ。

「キリカ……?」

その雰囲気がさっきまでとはまるで違う事に気付いた俺は、キリカの名前を呼んだ。

「なるほど、プロテクトも万全という事か。
やられたなあ、モンジ君なら簡単に落とせると思ったのに」

「キリカ……やはり君は……」

彼女は俺のDフォンから目を離さないまま、自分の手についた血をペロリと艶めかしい舌で舐めた。

「ふふっ。なあんだ、やっぱりバレていたんだね」

その舌が、唇が、妙に赤く感じられて______俺はようやく確信を得た。
仁藤キリカ。
彼女が、彼女こそが俺と一之江が探していたロアで……アリサが言っていた、『凶悪で最悪な魔女』なんだと。

「ふふっ」

キリカの手からベンチに血が一滴落ちると、先ほどの蜘蛛がその血に駆け寄ってきた。
いや、先ほどの蜘蛛だけじゃない。
『赤い』色をした蜘蛛以外にも、赤い色の蟻、百足、ヤスデ、芋虫、アブラ虫、名前も知らない無数の『赤い虫』達が、まるでベンチの下から湧いて出たかのようにワラワラとその血に群がった。

「うわっ、気持ち悪いな」

そんな感想を抱いた俺とは対照的に、キリカはそんな虫達の女王様であるかのように『いつものように』クスクスと笑っていた。

「キリカ?君は……」

「モンジ君を気に入っているのも本当だけどね。でも、モンジ君にもバレちゃったし、そのDフォンにも嫌われちゃってるみたいだしね。そのDフォンがあれば私も便利だと思ったんだけど……」

「便
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