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世界を超える保持者とα
第四
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数の大学園長であり、彼
ら二人をねじ込むことぐらいなら朝飯前といったところである

しかし、それを聞いてはいても実際に知らない者も居る

「ヘンリーとやら。これだけの住居を構え、それだけの数を仕切っているというな
ら、我らの事などどうにでもなる些事にすぎんのではないか?」

アルファにしてみれば自らが間違いなく最上位であり、本来この場面で格上である
ヘンリーに対しても上から言葉を叩きつける


「それに我は兎も角、カイルに対してはその程度の義理はあるはずだろう?」

そもそも、この世界の住人ではなく、人間ともあまり関わってこなかった以上、多
少常識に欠けているところもあるだろうが

「し、シャガルさん!?」

この場における常識を持ち合わせるカイルは、慌てて制止するがアルファは事を成
した後

既に口を閉じてヘンリーからの返答を待っている

カイルはヘンリーが気分を悪くしないかと気が気でない

しかし、カイルの心配をよそにヘンリーは当初の笑みを顔に浮かべた

「ええ、その通りですよ。もとより君が私を訪ねてきたら、最大限の支援をするつ
もりでした」

カイルが予想していなかった応え

「え?」

「そもそも、わが学園に長年授業材料を提供していただいた上に個人的に交流もあ
る君を放っておいては、私の底が知れるというものでしょう」

ヘンリーは、当然とそう応えた

確かに、ヘンリーの言うことは分かる

更に言ってしまえば、ヘンリーがこう応じるのはカイルにしてみても分かるはず
だった

幾度となく交流があり、この屋敷に呼ばれたことも数度ある



「何より、ここで君たちを突き放したら、亡き君の父上に申し訳がない」

ヘンリーの性格にしてもカイルは知っているはずだった

(ああ、僕は考えすぎていたのですね・・・)

カイルは、そう心中で呟き嘆息する

カイル自身は至って冷静でいるつもりでも、今日は彼の人生がぐるりと変化した

さらに言えばそこからも非日常的な出来事ばかりに取り巻かれた中で、知らずのう
ちに思考が偏って行ったようだ

ヘンリーが何色を示すとばかり考え、それ以外にも難関が待っているとばかり考え
ていた

いくら冷静を装っていたとしても、気づかぬうちに限界は来るものである

カイルは、そんな思考を振り払うように目の前のヘンリーに向き合う

「ヘンリーさん、ありがとうございます。これから、よろしくお願いします」

「ええ。しかし、今後について考えるのは明日にしましょう。とても疲れているようですし、部屋を用意させますから」

そう言ってヘンリーは席を立つ。

カイルは、どっと疲労が襲ってくる感覚に襲われた


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