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鎧虫戦記-バグレイダース-
第06話 食堂のカツコ
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叫んだ。

「それでも、お兄ちゃんがかわいそうだよ!」

おばさんはハトの頭に手を置いた。

「私も反対したわ。信じられなくて。でも、ボブが資料を見たときに
 その術式が書いてあったから間違いないって。強力が電撃を加えれば
 壊れるって言っていたから私は彼を信じたの」

ボブは帽子を脱いだ。

「俺もできる限り電撃を弱めて使ったが、それでも常人なら即死のレベルだった。
 賭けだったが彼は君を助けるために立ち上がったんだ。それには俺も驚いたよ。
 危険な事をしてしまってすまなかった」

彼は深々と頭を下げた。
ハトはそれを見てゆっくりとうなずいた。

「おじさんもやっぱりセキレイお兄ちゃんの味方だったんだね」

彼女は少しだけ笑顔になった。

「‥‥‥うぐッ!‥‥‥‥‥‥」

セキレイはうめき声を上げた。全員はセキレイのそばに駆け寄った。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ‥‥‥‥」

呼吸がひどく乱れており、表情は非常に辛そうに見えた。
カツコはセキレイを診た後に言った。

「早急に手術をしないと少しやばいかもね」

それを聞いたハトとジョンは焦っていた。

「それならお医者さんを呼ばないと!」
「医療室はここから少し遠いが間に合うか!?」

しかし、カツコは冷静につぶやいた。

「私がやるわ」

その言葉を聞いて二人は耳を疑った。

「料理だけでなく手術までできるんですか!?」
「おばさん手術したことあるの?」

ハトやジョンは質問したいことだらけだった。
しかし、カツコはそれを手で遮った。

「今はそんなに時間がないわ。急いで手術室に運ぶわよ!」

おばさんが急いで入り口に走って行った。
ボブはセキレイを背負って彼女を追いかけた。
二人も彼らを追いかけて行った。



    **********



 ガンッ!

大きな音を立てて手術室の無影灯がセキレイの手術野を照らした。
おばさんとボブ、ジョンはその周りで立っていた。
ハトは手術室の外で全員の帰りを待っていた。

「二人とも、準備はいい?」

おばさんは見回しながら訊いた。二人は大きくうなずいた。

「では、脳内の装置の摘出手術を始めます。メス」

ついに、セキレイの手術が始まった。



    **********



「きっと大丈夫だよね、セキレイお兄ちゃん」

ハトは手術室の前のランプの消え入る時を待ち続けた。
手術前のおばさんの一言を思い出しながら‥‥‥‥‥‥‥


 数十分前―――――――‥‥‥‥‥‥‥


「本当におばさんは大丈夫なの?」

ハトはおばさんに訊いた。
彼女は笑顔でハトの頭に手を置いた。

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