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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十二話 恨みと嫌がらせ
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ルト伯爵夫人を拉致したという真偽が定かでない情報が入っている。補給物資も奪って行ったらしい。エーリッヒがオーディンに居たのは五日間、その五日間で何をしたのか。おかしな事にオーディンからは全く情報が入って来ない。入手した情報はいずれもフェザーンの独立商人から得たものだ。
「オーディンに着いたら状況を確認してこちらから連絡を入れます」
『そうしてもらえるか。奴が何処に行ったのかという問題も有る。何か手がかりが無いかも調べて貰いたい』
「了解しました」
通信が切れると参謀長のオルラウが寄って来た。
「閣下、念のため、哨戒を念入りに行いたいと思いますが」
「……分かった、そうしてくれ」
念のため、哨戒を念入りにか……。妙な言い方だが本人は気付いていないだろう。オルラウの表情は強張っていた。奇襲の可能性をロイエンタール提督に指摘された事で慌てている。
溜息が出そうだ。ミッターマイヤー、ケンプ提督が続けざまに敗れオーディンが襲撃された。将兵はエーリッヒに翻弄され怯えている。だがその怯えは五時間後、オーディンに着いてさらに深まった。
「馬鹿な、新無憂宮が……」
彼方此方で呻く様な声が聞こえる。旗艦リューベックのスクリーンに映る新無憂宮は北苑、西苑が瓦礫の山になっていた。
「閣下、これは」
ドレウェンツが問い掛けてきたが声が震えている。
「陸戦じゃない。多分艦砲射撃だろう」
無茶をやる、そう思っているとドレウェンツが“艦砲射撃”と呟いた。呆然としている。
「リューベックを新無憂宮の近くに下ろせ」
「しかし新無憂宮の上空は」
「構わない、参謀長、非常時だ」
「はっ」
「それと、ロイエンタール提督にオーディンに着いたと連絡を入れてくれ」
「はっ」
俺の周りには新無憂宮の破壊を知って呆然とする人間しかいない。だがエーリッヒの周りにはアントン、リューネブルク、オフレッサーが居る。皆喜んで新無憂宮を壊しまくったのだろうな。新無憂宮の上空を飛ぶ事など何の躊躇いも感じなかったに違いない。溜息が出そうだ……。
帝国暦 488年 7月 25日 ヴァルハラ星域 ロイエンタール艦隊旗艦 トリスタン オスカー・フォン・ロイエンタール
『新無憂宮を艦砲射撃?』
スクリーンのローエングラム侯の声が一オクターブ上がった。呆然としている。気持ちは分かる、俺もそれを聞いた時は冗談ではないかと思った。
「はい、北苑、西苑だけですが瓦礫の山になっているようです。モルト中将は降伏せざるを得ませんでした。抗戦を続ければ東苑、南苑も攻撃されると思ったのでしょう」
モルト中将は降伏後自決しようとしたらしい。だがヴァレンシュタインに“無意味だ”と止められた。そして帝都を無防備にしたのも、前線を隙間だらけにしたのも
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