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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第三十四話 ユーフォリアン
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“正史に行け。ルドガーが『魂の橋』を架ける前に、正史の『俺』を殺せ”

 “とーさまの大事な弟を、救ってくれ”

 ワタシという子は父親にそれだけを(ねが)われてこの世に産み落とされた。

 ユースティア・レイシィ、ううん、ユースティア・ジュノー・クルスニクというのが正しいかしら。とにかくワタシはただ一つの目的のために造られて、産み出されて、育った。

 寝物語は叔父の死に様。遊ぶ代わりに槍を揮った。時計の代わりに滅亡までのカウントダウン。

 とーさまがいて、かーさまがいて、アルおじさまがいて、バランおじさまがいる、とても幸せなディストピア。
 ワタシの槍で壊したユースティアだけのお庭。

 楽園と引き換えにユースティアは本物の歴史に入り込んで、とーさまの言いつけを果たした。ユリウスじゃなくて、ワタシ自身を殺す形で、だけど。そこでユースティア・レイシィは死んだ。

 死んだのに、また目覚めた。断界殻(シェル)に閉ざされた頃のリーゼ・マクシアの、ジルニトラ号の上で。
 何故かなんて知らない。死ななかった。それだけ。

 ワタシがすべきはとーさまの大事なルドガーを死なせないこと。だから、断界殻が閉ざされて、エレンピオスに行けない状況で、何ができるかを考えた。

 そうしてようやく考え付いた。

 方舟は閉ざしたままで。『道標』を集めてエレンピオスに渡る。そしてまた『橋』になるために死ぬの。
 あとはビズリーおじいちゃまに任せれば、精霊の自我は消える。『審判』が終わった後で世界を一つにして、ジランドおじさまの源霊匣を普及させれば、ワタシが産まれた分史とよく似た、でも滅ばない世界の出来上がり。これなら完璧でしょう?

 ジランドおじさまは理解してくれた。ワタシの経歴も、『オリジンの審判』も、ワタシの浅はかな作戦も。それどころか、ワタシを信じてアルクノアに入れてくれた。

 その時決めたの。このひとたちを絶対にエレンピオスに帰してあげようって。

 死んだのに生き返って、過去に紛れ込んで、何をしていいか分からないワタシ。
 でも出会えた。ジランドおじさまに。アルフレドに。レティシャおばさまに。

 意味がなくても生きていける。やらなきゃいけないコトが終わって生きてる意味がなくなっちゃったユースティアだけど。意味の代わりにワタシを満たす希望を見つけたから。

 だからワタシはダイジョウブ。ダイジョウブだよ、かーさま。
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