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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第三十三話 氷炭、相結ぶ
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文句は誰も言うまいに……いや、今このやりとりこそが、君にとっては殊勝になっているからこそ、か。

 ふいに先頭を歩いていたミラが足を止めた。

「また精霊が大量に消失した」
「――フェイ。分かったか?」
「うん。わたしにも分かった。また〈槍〉を使ってマナをエレンピオスに送ったんだわ。この船は術式の中心だから、船の中にいたらマナ取られないみたい」
「いつもながらおたくの娘は規格外だねえ。霊力野(ゲート)があるエレンピオス人ってだけでも破格なのに」
「どういうことだ?」

 ミラがこちらを向いた。
 初めてかもしれない。「この」ミラが自分から私たちの誰かに話題を振ったのは。

「俺たちに霊力野とやらはねーのよ。精霊術も使えない。だから黒匣(ジン)に頼る。あれ? 言ってなかったっけ」
「言ったが、その時にミラはいなかったからな」

 ミラはしばらく険しい目で私とアルヴィンを見ていたが、何も言わずに階段を登って行った。

「あれで人と精霊の守護者ってんだから、やってらんねえな」
「ミラ様を侮辱するか、貴様!」
「してねえよ。ただ、俺もダンナも霊力野とかねえんだ。これが終わったらおたくのご主人様に殺されるかもなーって思っただけ」

 アルヴィンはイバルの鼻頭を指で弾いてから、ミラも登った階段を登って行った。





「ここだ」

 ミラが一つの扉に手を当てた。

 やはり中央ホールだったか。どこまでも〈ミラ〉を思い出させる。知っていてやっているなら相当な悪趣味だ。

 ミラがその扉を、開いた。

 一面ガラス張りの床。床に設置された台座に鎮座する〈クルスニクの槍〉の砲身。そして、〈槍〉の前に陣取るのは、ジランドと、二人の少女。

「ご苦労なこった。わざわざ本物のマクスウェルを連れてくるとはな」

 ニヒルな笑み。両脇に()(そく)と臙脂の少女たちを侍らせる様は、まるでドラマのヒール。

「アルフレド・ヴィント・スヴェント。裏切った理由を聞こうか」
「簡単だよ。俺は昔から、あんたが大嫌いだったんだよ。ジランドール・ユル・スヴェント」
「―― 一生をリーゼ・マクシアで過ごす覚悟ができたようだな」
「逆だぜ。俺はエレンピオスに帰る。母さんもユースティアも、あんただって連れてな。その前に死なれちゃ困るからこっちに付いたんだよ。こいつらといて学んだ。相手のために敵にならなきゃならねえ時もあるんだ」

 アルヴィン……そうか。変わったんだな、君も。

「下らねえ」

 ジランドが指を鳴らすなり、源霊匣(オリジン)セルシウスが前に出た。
 いくつもの魔法陣から放たれる氷針の弾幕。避けられないことはなかった――のだが、先にミラが前に光の盾を展開し、氷針を全て防ぎき
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