異なる物語との休日〜クロスクエスト〜
休日のB
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自分のせいで理央に人を撃たせちゃったわけだし……まぁ、彼は許してくれたけどね」
ふふ、とほほ笑んだのは、眼鏡を掛けたショートカットの少女。朝田詩乃だ。こちらもキリトの友人のシノンとは同一人物でありながら別人。コハクが知っている彼女と比べると、少し明るい性格をしている気がする。
「だからコハクさんも、そんなに気にする必要はないんじゃないかな。きっとあなたの彼氏さんも気にしてないと思うよ」
「そっ……か……そうだよね。清文だし」
「失礼だぞ」という声が聞こえそうな気がして、コハクはクスリ、と笑った。
――――その瞬間だった。
「……だれっ!」
サナが鋭く叫んで、空中に五十を超える数の白銀のレイピアを出現させたのは。
まるで意思を持ったかのように飛行するそれらは――――しかし、標的に突き刺さる前にいずこへと姿を消してしまった。
「おやおや、乱暴だな。いくら私が怪しい者でも、いきなり攻撃する必要はないと思うぞ」
つつつ、と笑い声が響く。いつの間にか、部屋の中に見知らぬ少女がいた。否――――『見知らぬ』という表現は正しくない。コハクは、彼女とよく似た人物を知っていた。
「ガラディーン……?」
《白亜宮》の城で、コハクと一騎打ちを繰り広げた剣士の少女、ガラディーン。あるいは、天宮陰斗の友人、星龍そう。彼女たちに、目の前の少女は酷似していた。相違点を上げるとすれば、その王者然とした気質と……なにより、十二歳ほどの幼女の姿をしていることか。
コハクの問いに、少女はつつつ、と再び笑った。
「否、否。私はあの存在の触覚だよ。あの存在自体ではない。私はシェイド様より《アーニャ》の名を賜った者。本日はお前たちにひとつの報告をするために参上仕った」
「……何が、したいの?」
どこからか弓を取り出したシノンが、矢を構える。
アーニャと名乗った少女は、その瞬間に、ふいっ、と、謎の営業スマイルを見せて言った。
「お客様、お風呂のご用意ができております。大浴場へどうぞ! ……だったかな。こうやったら喜んでくれると思うってシェイド様言ってたんだけど」
どたどたっ、と言うような音が背後から聞こえた。コハクも咄嗟に眩暈を感じてしまった。
そりゃぁ――――
「失礼だな」
「いや、何しに来たのかと思ったら風呂屋だったら誰でも驚くでしょ!!」
顔をしかめたアーニャに向かって、コハクは怒鳴る。すると彼女は三度笑って、
「大浴場は通路を曲がって左だ。どうぞごゆるりと」
来た時と同様に、音もなく部屋から出て行った。
「……結局、何だったんでしょうか」
「さぁ……?」
オウカの呟きに、リナが困惑顔で答える。
ちょ
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