マブラヴ
0856話
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俺が近づいてくるのが分かったのだろう。ウサギの耳飾りを付けた少女は、どんな作りになっているのかは分からないが、ウサギの耳を垂れたり伸ばしたりといった風に柱の陰で行動し……その仕草は俺が隣に到達するまで行われていた。
「で、お前は結局誰なんだ? 何でこんな所にいる? そもそも、今日はお前みたいな子供がここにいる筈が無いんだが……」
「お前、じゃありません。社霞、です」
ウサギの耳飾りがピョコピョコと動いていたのだが、それも一段落して落ち着いたのか、そう名乗る。
にしても、社霞? 外見から言えば白人だろうが、名前は日本人らしいな。
「で、その社霞は何でここにいる? その名前から言えば日本帝国から派遣されたんだろうが」
ただ、その割には制服は国連軍のものなんだよな。白人で、日本風の名前で、国連軍所属。どこからどう見ても複雑な裏事情があるのは確実だ。
それと、腕に……オルタネイティヴ4? 何のマークだ?
そんな風に考えていると、何故か社は数度の深呼吸の後でペコリと大きく頭を下げる。
「その……謝ろうと思って、貴方を探して……いました」
「謝るって言ってもな。お前に何かされた覚えは無いぞ? 一体……」
「社!」
そこまで告げた時、まるで俺の言葉を遮るかのように響く声。聞き覚えのあるその声に視線を向けると、そこでは俺の予想通りの人物の姿があった。
知性的な美貌を持ち、国連軍の制服の上から白衣を纏ったその姿は、以前に会談をした時と変わらない。ただ、あの時に比べてより鋭い眼差し……と言うより、幾分か痩せているように見える。
香月夕呼。国連軍が接収した帝国陸軍白陵基地の副司令官だ。
……なるほど。確かに夕呼は科学者としても有能だ。そうである以上、日本帝国から派遣されてくるメンバーの中に入っていてもおかしくはない。いや、寧ろ入っていて当然と言うべきか。
「久しぶりだな。随分と痩せたように見えるが、大丈夫か?」
そんな軽いジャブに、夕呼の眉がピクリと動く。
「ええ、おかげさまでね。もっとも、誰のせいでこんなに苦労しているのかはあたしが言うまでもないと思うけど?」
向こうにしてもここは公の場ではないと判断したのだろう。ニューヨークで行われたパーティの時のように堅苦しい言葉遣いでは無く、基地で会談をした時のような軽い口調で言葉を返してくる。
「誰のせい? それはお前の自業自得だろう? 少なくても俺はそう認識しているが?」
「……そうね。あたしのミスだった。それは認めるわ」
そこで言葉を一旦止めた夕呼は、鋭く俺へと視線を向けてくる。
「けどね、だからって社にちょっかいを出す事はないでしょ?」
「……何?」
ちょっと待て。それではまるで……
「博士、
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