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Sword Art Online 月に閃く魔剣士の刃
10 妖の主
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何でもない会話を交わして、何となく会話にも一区切りがつく。そこで、

「3日後の偵察、一緒に来ないか?」
「...え?」

 確かにサラっと言った。流れで言ったから意味が分からなかったのもあるのかもしれない。ただ...、

「おーい?おーい!?」

 偵察のパーティー加入の誘い。それだけでたっぷり10秒間フリーズしてやがる...。
 苦笑しながら目の前で手を振るとようやくフリーズから立ち直り、

「い、いいんですか!?」
「俺の目が狂ってるとでも?」

 この手のタイプは大体謙遜しまくると経験から知っている。
 だから少し喧嘩腰にして押し切る。

「い、いえそういう事じゃ...。」
「行きなくないならいいけど。予行演習も兼ねてさ。」
「う〜ん...足引っ張っちゃいそうですが、よろしくお願いします!」
「よかった〜。んじゃ打ち合せしとこうか。」

 無事にやり取りを終えた時、ちょうど正午を示す鐘が鳴った。

「飯食いながらにする?」
「そうですね、お腹減っちゃいました。」

 手近な食堂に入ると、ボスへの偵察を打ち合わせた。
 基本的な動き方、緊急時の行動について、転移結晶のタイミングなどなど。
 ミーティアは確実に強くなってきている、勿論レベルや装備的にもそうだがなにより臆すことなく敵に剣を振るう姿はさながら姫騎士だ。
 これならいけそうだな。
 雑談も交えつつの打ち合せも終わり、次に会うのは3日後の偵察の時だった。

 そして第一次25層ボス偵察。結果としては成功の範疇だろう。
 ボスのHPバーは5本で姿は双頭の龍、ブレスは確認できなかったが取り巻きもおらずパターン変化はHP3本目で起こるようだ。
 攻撃も噛み付きなどがメインで、タンク隊とのスイッチを繰り返せば攻略もかなり楽だろう。
 しかし、それを伝えたのはボロボロになったマントを纏った青年と折れたレイピアを握り締め泣いていた少女、その二人だけだった。
 12人中6人がボスの攻撃により死亡、4人が特殊攻撃と見られる地割れに巻き込まれ詳細不明だった。
その成果に釣り合わない大きな代償に、攻略組は言葉を失った。
 精鋭を10人も失ったことにより、攻略はかなり遅れることとなる。
 後に「クォーターポイント」と呼ばれることになる25層区切りのボスの強力さ。
 その洗礼を俺達は浴びた。
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