祭の終幕と夢の開幕
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点蔵は傷有りと一緒に昼の光を浴びるかのように外に出て歩いている。
こうして色々な情報と出来事を経て膨らむ思いが一つある。
それは
……この御仁は一体誰なので御座ろう……
少なくともヘンリー8世の部屋の鍵を所持できるレベルの身分である事は間違いない。
まさかエリザベス女王……なんて事は流石にないだろうしメアリ殿……というのもおかしな話だ。
何故ならメアリ様は南西塔に収監されているし、その姿は民に目撃されている。
だからそれもおかしいと思われる。
なら、普通に考えると彼女達の傍付きの侍女とかの身分だろうか。
そこまで考えて気付いた。
……深入りしているで御座る
他国の人間に世界征服を宣言した武蔵の第一特務の忍者が。
無論、情を持つなというのは人間として割り切るのが難しいからそこはいいとする。
しかし自分は一介とはいえ忍者。
刃の下に心ありという言葉の成り立ちの戦種だ。
そんな自分が他国で、しかもヘンリー8世の部屋の鍵を所有出来るレベルの相手に深入りするのは忍者としてなっていない。
ただでさえ自分ら武蔵はこれからが大事な時期である。
無論、その大事の度合いは今日のトーリ殿とホライゾン殿とのデート結果で変化はするだろうけどうちの外道トップが揃って楽な道に行けるとは今まで積み上げてしまった悲しい経験が不可能と告げている。
お前らの不可能は俺の物と断言している馬鹿にこの不可能を叩き込んでやりたいものである。
だからまぁ、色々と内心で悶々としていると当の本人がいきなり
「点蔵様。───私と勝負をしませんか?」
「……? 勝負で御座るか?」
一瞬、色々と考えてしまったがここまでの彼女の人柄や口調に多少の幼さのようのものを感じたのを考慮して出来るだけ普通にどんな勝負で御座るか? と訪ねると彼女も笑みの成分を混じらせた口調で
「Jud.私が点蔵様の御顔をご覧に入れる事が出来れば私の勝ちというのはどうでしょう?」
あ、それは無理で御座る。
と、即答しようと思った。
忍者にとって顔を見せるという事は死ぬのと同義である。
それを彼女に伝えようとして
「……!?」
唐突に倫敦塔の北西塔が崩壊し、石組みと木板の礫が空から崩落した。
突然の事態だが点蔵は落ちてくる礫が濠に落ちていくものと判断を一瞬で下し
「───傷有り殿!」
そう一言告げ、自分は倫敦塔の破砕によって生じた爆音と事実に驚いている子供達の方に向かう。
一瞬だけ傷有り殿の事は考えるが彼女には術式がある。
これぐらいの事なら大丈夫であろうと思うし、先程の自分の叫びも理解してくれると思っている。
だから、今は自分は当たりはしていないが守られていない子供3人を一気に抱きかかえその瞬間に
「……っと」
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