祭の終幕と夢の開幕
[9/16]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
らしい。
"Long time my friend"
どう訳しても"久しぶりだ我が友よ"という意味を持っていた。
後でお茶を濁したらしいが、幾らなんでもわざととしか思えない。
あからさまな大仰な台詞を疑うなと言うのは無理がある。
そして傷有り殿は違う話題を続けた。
キャサリン王女が血塗れメアリを生めなかった事に対して妖精に隠されたという言い訳を放ったと。
どう見ても苦しい言い訳。
うちの馬鹿共が覗きに行った時
「ああ!? これは覗きじゃないぞ!? 青春を分かち合う友情みたいなもんだよ! なぁ親友!」
「応とも! 俺達はエロ目的だけで覗いているだけじゃねぇ……! 裸の付き合いで心まで深く繋がり合おうという……! いよっし! ナイスなエロ言い訳だ! 相手が男ならこれで通らねえ訳がねえ!」
勿論、番屋で寝る事が決定した瞬間であった。
残念な事に言い訳を聞いている相手は女性であった。男性であっても職務に忠実ならアウトだろうが。
それよりはマシではあるが、それでも妖精に隠されて生めなかったというのは流石に無理がある。
しかし、その言い訳は通った。
そして無茶な言い訳が通るという時の理由というのは恐らく単純に
「……前例があったので御座るか?」
「Jud.仲の良かった男女3人が一度」
その3人が
「襲名前のヘンリー八世総長にキャサリン王妃……そしてアン・ブーリン」
それらの情報はほぼ抹消されており、それを知っている人も遠ざけられたり消えたりしていて明確ではないらしい。
ただ噂だと3人が消えたのは1年くらいの期間。
その間にカルロス1世に出会ったのではないかという事。
そして
「だからこそ誰も疑われなかったのです」
二度繰り返された言葉に同じ内容を語ったのではないと気付き、何をと問うよりも前に彼女は鎧戸を引いた。
少々暗い部屋だったので突然の光に少し目を細めるが、逆光で顔が見えないながらも彼女の視線が自分……いや自分の背後を指し示す力を見つけ、そしてそこに振り返り───見つける。
「二境紋……!」
「極東ではそう呼ぶらしいですね。または公主隠しとも……点蔵様。これが私が点蔵様にお見せしたかった事……英国の万能王ヘンリー八世は点蔵様達が探している謎によって消失していること───これは妖精の仕業なのでしょうか? それとも別の何かなのでしょうか?」
それに答えられる解答を自分は持ち合わせていない。
だから代わりに自分は傷有り殿ではなく二境紋と共に書かれていた一文を見ていた。
"Long time my friend"
それは一体、誰の言葉なのだろうか。
自分にはやはり解らなかった。
こうして色々聞かされた
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ