連続虚空爆破(グラビトン)事件
[9/15]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
(くっそ!もっと早く気付いてれば……!!)
蓮は舌打ちをしながら最高速でスケボーを全力でとばしていく。周りの人が驚くのも気にせずに目の前の人、車をギリギリでかわす。その時、蓮の携帯が鳴った。
「もしもし!」
『神谷さん!今どこですの!?』
スピードは落とさずに電話に出ると聞こえたのは白井の声。
「今観測地点に向かってる!セブンスミストであってるか!?」
『ええ!それと、そこに初春がいますの!私も今から急いで向かいますが……』
「任せとけ!絶対間に合わせる!!」
白井との通話を切った蓮はもう1段階速度を上げる。セブンスミストまではもう少し。
(間に合え……!!)
「みんな大丈夫かな……」
店の外に出た佐天は心配そうな表情でつぶやく。先ほど避難誘導が終わり、御坂が出てきたがなにか男の人と会話して2人でまた店内に戻って行ってしまった。初春に指示されたとき、本当なら自分も手伝いたかった。しかし、自分では何もできない。初春はジャッジメントで御坂はレベル5で松野はレベル2だが実力的にはレベル4の能力者。対して自分はレベル0の一般人だ。何もできない。その差が佐天に言いようもない感情にさせる。
(あたし、なにやってんだろ……)
先日の昼に御坂と話したこと。初春や神谷、みんなとの差に対する感情。何もできない悔しさやみんなに対する憧れなどで胸が苦しくなる。顔をうつむかせてそんな感情を抱えていると、後ろからいつも聞いている声が聞こえてきた。
「佐天!!!」
「……神谷?なんでここに……ってそんなことより初春達がまだ中に……!!」
「なにやってんだよ……!!御坂さんたちも中だな?」
後ろからスケボーで人ごみをかき分けて近づいてきた蓮はそういって、店内に走っていこうとする。佐天はその後ろ姿を見ているだけになるはずだった。なにもできない自分をみじめに思いながら。しかし
「佐天。これから爆発が起ころうが起こるまいが、この野次馬の中で妙な動きをする奴が必ずいるはずだ。爆発直後に動き出して路地に入って行ったりみたいに。そいつを見つけて尾行してくれ。できる?」
「え……?」
蓮の言葉に一瞬呆ける佐天。しかし、次の瞬間には自分にもできることがあるとわかり力強くうなづいた。そして蓮に感謝する。蓮は自分の様子に、気持ちに気づいて役割を与えてくれた。ならばその気遣い、優しさに答えなければいけない。
「わかった!任せて!!」
「無茶するなよ。じゃあ行ってくる!」
そういって今度こそ蓮は店内に駆け込んでいった。
(これでよし……)
見通しのいい通路の真ん中に立ち、前後左右の通路に誰もいないことを確認した初春は避難誘導の官僚報告に白井に連絡を
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ